104-106冊目 「一私小説的の日乗」 西村賢太

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ひさびさの更新。あいかわらず読書のペースは変わらないものの、何も紹介する気になれない日が続いていたので。

2週間ほど前に、本棚からあふれた本を処分しようと手に取ったのが西村賢太の『一私小説書きの日乗』。私小説ではなく、こちらは本人による日記。売る前にと思ってパラパラ読んだらこれがえらくおもしろい。初読のときはそれほど感じ入らなかったのに。

だもんで、処分も撤回し、現在出ている限りの続編2冊も取り寄せて一気読みした。


毎日2時間のサウナ、人の悪口、大汗をかきながらのラーメンと、這いつくばっての原稿書き、そして晩酌に宝焼酎一本と、オリジン弁当その他で購めるジャンクなお菜。根がエチケット尊重主義でスタイリストにできている著者の、細かいところにはうるさいわりに鯨飲馬食する怠惰な生活を一向に顧みない様が最高におもしろく、ダークヒーローとしてこれ以上のストレス解消はない。ただの日記がこれほどおもしろいなんて、ちょっと他にない。

ヒーローの条件は、自分が生きられなかった人生を生きている、というところにある。北町貫太ならぬ西村賢太は、そのヒーローを地でいっていて、一種、蠱惑的な魅力さえある 

こんな、味方によってはつまらない本を(もちろん自分はそう思ってないけど)いちいちハードカバーの美しい想定で出してくれる出版社にも、なんだか感謝したくなった。

103冊目 「小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代 」 阿古真理

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サトウタクシBLOGからの推薦書。
http://takushi.blog.jp/archives/52030725.html

これはおもしろい! 最近の新書ではお目にかかれないような密度で書かれた料理研究家史にして、近代の女性史。

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妻の出産をきっかけに、もともと好きだった家庭料理に以前より真面目に取り組むようになったその結果、我が家の味みたいなのが、少しずつできてきた。無理なく続けられる習慣と、味の好みによって、繰り返し登場する定番料理が決まってくる。

「キリンジ後期ベストコレクション」っていうプレイリストを作っみてら、おもわず完璧なのができちゃったんでシェアさせていただきます

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昨日、LINE MUSICをリリースしたので、いっちょおれも自慢のプレイリストを公開してみるべと思ってキリンジの収録曲を調べてみたところ、(現時点では)後期の曲しか収録されていないことが判明。

しかし、制約に燃えるが本当のファンであります!
あーでもない、こーでもないと一晩検討して、これ以上ないプレイリストができあがりました



その結果、キリンジの素晴らしさを再認識してリピートがとまりません。
しばらく聴いてなかった分だけ、感動のゆり戻しがでかい。

やっばい……キリンジ最高 ゚+。*。゚(゚ノД`゚)゚。*。+゚


初期のキリンジしか知らないみなさん、どうぞこれを聴いてください。
後期までフォローしているファンのみなさん、異論反論お待ちしております!


https://music.line.me/launch?target=playlist&item=upi7o_qesguiwkym-o-EVhu4wFyJ4ImUt638&subitem=co0000000000000001&cc=JP
※スマホでクリックすると、8月9日まで全曲無料で聴き放題。それ以降は試聴で楽しめます。

1. 台風一過 (作詞・作曲 堀込高樹) 『BUOYANCY』収録
2. 祈れ呪うな (作詞・作曲 堀込高樹) 『SUPER VIEW』収録
3. きもだめし (作詞・作曲 堀込高樹) 『Ten』収録
4. 夏の光 (作詞・作曲 堀込高樹) 『BUOYANCY』収録
5. もしもの時は (作詞・作曲 堀込高樹) 『7』収録
6. 仔狼のバラッド (作詞・作曲 堀込高樹) 『Ten』収録
7. 都市鉱山 (作詞・作曲 堀込高樹) 『BUOYANCY』収録
8. ホライゾン!ホライゾン! (作詞・作曲:堀込泰行) 『BUOYANCY』収録
9. 早春 (作詞・作曲 堀込高樹) 『SUPER VIEW』収録
10. ナイーヴな人々 (作詞・作曲 堀込高樹) 『Ten』収録
11. 温泉街のエトランジェ(作詞・作曲:堀込高樹) 『BUOYANCY』収録
12. ブルーバード (作詞・作曲 堀込泰行) 『DODECAGON』収録


プレイリストを作るにあたってのノート


・プレイリストの曲数は12を上限とする。
・収録範囲は、プロデューサーから冨田恵一が外れた『DODECAGON』(6th)から泰行脱退までの『Ten』(10th)までの5枚。新生KIRINJIは「後期」というテーマの対象外。
・各アルバムから最低でも1曲は入れる。兄弟の曲のバランスを(なるべく)取るように心がける。
・LINE MUSICにある曲だけで構成する。残念ながら、「星座を睫毛に引っかけて」や「TREKKING SONG」や「Golden Harvest」はない。

102冊目 「緑色の宇宙」 生頼範義

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生頼範義の画集を買った。表示は「ムー」創刊号のあれ。絵の中の主役を遠くに大きく描くあの構図と、特徴的な緑の光。タイトルは「緑色の宇宙」。英題「Green Universe」。掛け値なしに我が心の故郷。



なかでもとりわけ忘れられないのは、あの有名な帝国の逆襲のポスター。




光栄の三国志にスターウォーク。めくるページめくるページで手が止まる、幸福な画集です。


101冊目 「忘れられた巨人」 カズオ・イシグロ

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5月に『忘れられた巨人』が発売されてから今まで何かと多忙で、読みきるのに時間を要してしまった。



カズオ・イシグロ得意の「信頼できない語り手」が、核心を伏せたまま不穏なムードで物語を引っ張っていく。そうそうこれですよと、冒頭あたりでは快哉をあげたくなるようなおもしろさを感じる。ところが、中盤はわりかしダルく、特にファンタジーを読み慣れている人には飽き飽きとするところもしばしば。ところが最後の最後で再びのめり込んでゾッとさせられる、そんな読書体験だった。

番いの男女の愛を、こんなかたちで書いた物語がいったい他にあるんだろうか。ファンタジー小説という舞台に、記憶の曖昧な老夫婦という登場人物。それらが、予想もしなかった読後感を与える結末を導いている。

ラストシーンはどうとでも解釈できるが、第一印象では、アクセルのほうが往復する船を待たずに姿を消したんだろうと思った。そしてそれでも、ベアトリスへの愛は本物だろうと。
裏切りと後悔の記憶に荒涼とした心。妻と離れたくないという言葉と、孤独を尊ぶ気持ち。矛盾するようでいて、それでもそこにある愛。万語を費やしても語れない気持ちが、見事な寓話になっていた。

期待を裏切らない新作。


カズオ イシグロ
2015-05-01

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