88冊目 「UNDER GROUND MARKET」 藤井太洋

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届いたその日に、一気読みした。Kindle連載でも読んでいたものの、再度してなおおもしろい。

2018年。N円という仮想通貨が流通する近未来を描いた経済小説。政府未公認の通貨を使った地下経済というと、ダーティな犯罪劇をイメージするが、実際はその逆。形のないお金(N円)だからこそ、信用が第一。登場人物たちがやりとりしているのは、お金ではなく実は「信用」なのである。
主人公たちは、友人やクライアントとの信用をなにより重視し、それゆえクリーンでフェアな振る舞いを徹底する。だから物語も、信用が失われるかもしれない……という危機によって展開していく。

もちろん、現実世界でも信用は第一だが、地下経済という舞台がそれをより純化させた物語世界を生み出した。こんなに気持ちのいい奴らが活躍する経済小説は他に知らない。

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なお、この小説が最初に発表された2013年から先、例のBitcoinの騒動があった。しかし、物語が現実に追いつかれて陳腐化する様子はない。むしろそのはるか先、仮想通貨が普及しつつある社会の人間ドラマを描くこの本の凄みが余計際立ったように思う。おもしろいですよ。

ちなみに、最初に読んだときの感想も書いていたのでリンクする。今回のとはまた違った感想を書いているので、興味のある方はこちらもどうぞ。
http://sasakill.blog.jp/archives/50838305.html



87冊目 「遠野物語拾遺」 京極夏彦 柳田國男

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京極さん、ありがとうございます! あの読みづらい『遠野物語拾遺』をこんなにも素晴らしい本に編み直してくれて。

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元が元だから『遠野物語remix』ほど期待せずに読み始めたらこれがおもしろい。というか、こんなにおもしろい内容だったのかと目うろこポロリ。

全299話を締め括るエピソードに選ばれたのは、遠野の空にはじめて飛行機が飛んだ話。単なる昔話ではない遠野物語の魅力を伝える、素晴らしい読後感を与える構成。素晴らしい。自分、遠野出身ですが、遠野に観光旅行に行きたくなった。



86冊目 「大イワナの滝壺」 白石勝彦

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本棚アプリ「Stand」のタイムラインで見かけて買った本。非常におもしろかった。

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山本素石といい、この白石勝彦といい、あるいは井伏鱒二といい、昔の渓流釣りの本はなぜこんなにもおもしろいんですかね。



85冊目 『神速の麻雀』 堀内正人

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ネット麻雀で集められたデータを背景に成立した、最新の麻雀戦術書。テキサスホールデムを遊ぶのに基本的に確率を頭に入れるのと同じ感じで、牌姿や順目ごとの確率がずらーっと載っているのがおもしろい。

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読み終わって実戦してみたら、足踏みしてた階段をひとつ上がれた感じがある。特に、鳴き方やおり方。テンパイスピードを上げながら放銃しにくくなるんだから、戦いがだいぶ楽になった。

長年、変な漫画(笑)を読んで染み付いていたのがとれて、霧が晴れたような感じ。



84冊目 『遠野物語remix』 京極夏彦 柳田國男

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オススメの本しか紹介してないのでこういうことを言うのもなんだけど、あえて言おう。必読であると。

この本の売り文句には、若干のミスリードがある。現代的で読みやすい日本語(しかもホラーに最適化された京極文体)に訳されたことが大事なんじゃなくて、119個の物語の順番を入れ替えることで柳田國男の私小説としての遠野物語を浮かび上がらせたことがこの本の一番の価値だ。

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一読したことがある人にはわかるが、遠野物語という本には、伝説や民話や昔話はそれほど載っておらず、現代(100年ほど前)の話が多い。
しかも、遠野に広く伝わる話というより、佐々木鏡石氏の出身地である土渕の話と、柳田國男が遠野旅行したとき見聞した話が中心となっており、その観測範囲は実は非常にせまい。

しかし、そのことが非常にわかりづらい構成になっている。遠野物語に普遍性をもたせようというねらいのもと、時間軸や空間軸がわざとバラバラにされている。

京極氏の偉業は、これをremixして時間軸と空間軸を復元し、流れをもったひとつの物語に統合したこと。

はじめは、東京にいる柳田が佐々木鏡石から遠野の話を聞いている。それから、いてもたってもいられなくて遠野旅行にでかけ、あちこちを歩き、いろんな人の話を聞き回る。
そういう構成で読むと、こんなわかりやすい本もない。旅行記のような、私小説のような、もっといえばブログのような作品に読めてくる。

もちろん、柳田はそれだけの人ではないし、佐々木鏡石氏は柳田とは別の展望をもって『遠野物語拾遺』にとりかかるのだけど、当時まだ30代半ばだった柳田國男が衝撃を受けて見聞き遠野の話は、日本民俗学の原点として読むよりも、沢木耕太郎の『深夜特急』みたいなもんだと思って読むほうが、かえってその本質に感銘を受けるかもしれない。

京極氏は、本当に、次の100年につながるような大仕事をしたと思う。愛なしには作れない、素晴らしい本だった。



83冊目 『はらぺこあおむし』 エリック=カール

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替え歌ならぬ、替え読み聞かせがおれのなかでブーム。絵本の文章を読み替えて楽しむ遊び。それはたとえばこんなの。


はらぺことうさん

月曜日、夜ご飯を抜きました。
まだ体重は減りません。

火曜日、お昼ご飯も抜きました。
まだまだ体重は減りません。

水曜日、朝ご飯も抜きました。
それでも体重は減りません。

木曜日、水分もとらないようにしました。
なんとか体重が減ってきました。

金曜日、ふらふらして仕事に身が入りません。
もう体重なんてどうでもいいと思ってきました。

土曜日、はらぺことうさんは思い切り食べました。

クロワッサン、シナモンロール、甘いカフェラテ、家系ラーメン海苔トッピングにきゅうちゃんをたっぷりのせたライス、たこ焼き、シュークリーム、生ビール、タン塩、生ビール、ハラミ、生ビール、カルビ、生ビール、ホルモン、甕いっぱいのマッコリ、〆の冷麺、帰りのコンビニで唐揚げ棒と爽。

その晩、とうさんは後悔で泣きました。

日曜日、体重は前より増えていました。
明日からはおでんとサラダチキンで過ごすぞと誓いました。



そうやってふざけて妻とわらっておる次第です。

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それにしても、『はらべこあおむし』は本当に名作。



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