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ひさしぶりの更新。

去年の後半でしたか。本を一冊も読まなかった月というのがあったんです。どんな時でも、時間がないだなんてことはないわけで、つまりは読む気にならなかったというただそれだけのことなんだけども、自分にとっては貴重な体験ではありました。
本なんて、読まなきゃ読まないでいいし、それは音楽も映画も一緒。離着陸を考えない紙ヒコーキには車輪がないし、納豆のタレにはキャップがいらない。純粋な目的と、純粋に一体化して、あとは何も考えない。ひとつの幸せです。もし自分が使い捨ての道具ならば、だけど。

そうした時期にも終わりがあって、再び本を読みはじめたんだけど、ここのところは、すぐ紹介するのがはばらかれるタイプの本ばかり読んでます。実用書、ビジネス書、研究書。
うぶな分野の本に出会うと、まるでそれが世界の真実みたいに思えて興奮するんだけど、数年経って読み返すとロクなことがない。時の試練をくぐり抜ける本と出会うのも大変だし、まず真っ先に、自分自信がその試練に耐えられない。時勢に応じてまとう衣を変える哲学的カメレオンは、生存本能として肯定されたとしても、顧みるに醜い。

もちろんそんなことを言い出したら何も書けないわけで、何について書くのなら間違いを許せるか、その線引きしかない。それは自分にとって、文学であり音楽でありアートであり、いまは料理ということになります。時が経てば、あいかわらず自分はそのときどきの感性を裏切り続けるわけだけど、実用書やビジネス書や研究書のように、対象が裏切ることはない。

というわけで108冊目。『わたしの器 あなたの器』です。