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安い賃金で過酷な労働をしている人は世の中にたくさんいます。それで本人が満足であればなにも言うことはないのですが、なかには「きつい、つらい、しんどい」ともらす人がいます。ただしそういう場合でも、「この仕事が好きだから続ける」と言うのであれば、やはりなにも言うことはありません。

問題となるのは、「きつい、つらい、しんどい」と漏らし、なおかつ「やってられない」と言う人が、それでもその仕事をなかなか辞めようとしない場合です。

普通に考えたら「やってられないなら辞めればいいじゃん」と思うのですが、そういう人は、

いま抜けると同僚に迷惑をかけるし…辞めづらいタイミングなんだよね

ということを言ったり思ったりします。驚くべきことに。

実際には、誰かが抜けたってどうにかなってしまうものだし、辞めやすいタイミングなんてのはいつになっても訪れません。つまり、今辞めるか続けるかというシンプルな二択でしかないのですが、この簡単な問題がなかなか解けなかったりするものです。

なぜか。

そういう人(安い賃金で過酷な労働をしている人の一部)は、「まわりから必要されている」「重要な仕事をまかされている」という状況を脳内で構築し、自分に暗示をかけ、それを貴重なモチベーションとしてしまうからです
賃金が安ければ安いほど、労働がきつければきついほど、暗示は強烈になっていき、結果、辞めたいのに辞められないという苦しい状況に自らを追い込んでいきます。
これは、実感として思うことです。

私が上京してすぐアルバイトで入った会社は月給が手取り10万くらいでめちゃくちゃしんどい生活だったのですが、「いまはみんなに迷惑がかかるから辞められない」とか言ってなかなか辞めようとしなかった。いま振り返ると、不思議な話でもあり、笑える話でもあります。

もちろん、誰もがそうなるというわけでもないでしょうし、安い賃金で過酷な労働をすることにも価値があるので、この暗示にかからないこと(そして、暗示からから抜け出すこと)が必ずしも良いことばかりだとは言えませんが、「やってられない」って言うなら辞めればいいじゃないか、と思います。そのほうが潔いよいですしね。

というようなことを、「Web業界の底上げとか崇高な考えがあるなら、お前ら率先して金取ろうよ」を読んで思いました。