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村山聖(さとし)という、羽生世代の強豪棋士がいたそうです。と、過去形かつ伝聞形で書くのは、彼がすでに亡くなっており、私はそれを本の形でしか知ることができないからです。


聖の青春 (講談社文庫)

魅力的な人柄と将棋の強さ物語るエピソードの数々から、私もすっかり村山ファンになってしまいましたが、彼のことを知ったら、誰もがそういう気持ちになるのではないかと思います。

漫画『月下の棋士』では「村森聖」というキャラクターが、漫画『3月のライオン』では「二海堂晴信」というキャラクターが登場しますが、どちらも村山聖をモデルとしています。そして、物語に欠くべからず役割を与えられています。『聖の青春』を読んだあとの私には、作者がそうしたくなる気持ちがよくわかります。窮屈で常識的な世界が、村山聖の破天荒な魅力を必要としている、ということなんじゃないでしょうか。

そこから翻って考えると、現在第一線で活躍する羽生、佐藤、森内、丸山、郷田、三浦、木村、藤井、谷川などの面子が、どこか画竜点睛を欠くようにも思えてしまいます。それぞれが最高の棋士なのは間違いないとしても、今このなかに村山聖がいたら、将棋界はもっと、もっとエキサイティングだったろうと思います。それが見られなかったことが、残念です。

もうひとり、『聖の青春』で印象深かった人物が、村山聖の師匠である森信雄です。なにしろ「弟子のパンツを洗う師匠」ですからね。生活能力に欠ける頑固で偏屈な天才と過ごした、愛情にあふれるエピソードの数々が本当にまぶしい。

最後に、「森信雄」と「村山聖」でググったら、森信雄がブログに村山聖の写真が掲載されてるのを見つけましたので紹介します。森の愛情と、村山の魅力が凝縮された素晴らしい写真です。

村山聖の笑顔 - 森信雄の写真あれこれ

以下、森信雄関連のリンク。

弟子を亡くし 失意乗り越え 細かい目配り - YOMIURI ONLINE
森信雄 - Wikipedia
ブログ「森信雄の写真あれこれ」

以下、関連書籍のリンク。


村山聖名局譜


将棋の子 (講談社文庫)