羽生さんの新刊が出ました。
例によって、知的勝負の最前線から生まれた名言が満載なので、一部抜粋して紹介します。

勝ち続ける力勝ち続ける力
著者:羽生 善治
販売元:新潮社
発売日:2009-05
おすすめ度:4.5
クチコミを見る

以下の発言は、羽生さんに独特の終盤の逆転劇(通称「羽生マジック」)について「何かトリックがあるのか?」と質問されて答えた一節。

将棋は基本的に、不利になってしまったら後はもう他力なんです。自力で不利を克服することはできません。(中略)だいたい、不利な時は思い切ったことをやるとますます状況が悪くなることが多いですから、普通にしているしかないんです。リクスの高いギャンブルのような手をやってしまうと、かえって傷が深まり、差を広げられてしまうことが多くなります。対戦相手の人たちはみんなプロで、一か八かの勝負手みたいなものは見破られることがほとんどです。ですから、基本的には今ある差を広げられないようにしっかり、変な言い方ですが、不利な状況を維持していくのが大切だと考えています。

「不利な状況を維持していくのが大切」という言葉がすごい。聞いたことない。

麻雀でも将棋でも、ギャンブル性の高い一発逆転の手に身を託す方が楽で、不利な状況を維持するほうがきついです。だけどそのきつさに耐え続けると、まさかと思うような逆転劇(つまり羽生マジック」)が起こる、というわけですね。

仕事をしていると、どうしてもNO.1に勝てなくて二番手(あるいはそれ以下に)に甘んじるような状況が多いわけですが、羽生さんのこの言葉は、そういうビジネスマンをも勇気づけてくれる重みのある言葉と思いました。

■関連リンク
アルカンタラの熱い夏 - 不合理であれ。クリエイティブであれ。- 『シリコンバレーから将棋を観る -羽生善治と現代』を読んで