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旅する力―深夜特急ノート (新潮文庫)旅する力―深夜特急ノート (新潮文庫)
著者:沢木 耕太郎
販売元:新潮社
(2011-04-26)
販売元:Amazon.co.jp
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文庫化されたので手に入れやすくなりました。

内容は、『深夜特急』のファンのための「旅」論といった感じ。これ単体ですごくおもしろいというわけじゃないんだけど、ひとつの旅がひとりの人間のなかでどのように熟成していったのか、という過程が楽しめる。

なにしろ、1970年代前半の1年間の旅の記録が、こうして本の形にまとまるまでには、かなり長い時間がかかっていて、年表にしてみるとそれがよくわかる。

・1970年前半 沢木耕太郎が実際に旅した期間
・1986年 第1便『黄金宮殿』・第2便『ペルシャの風』発売
・1992年 第3便『飛光よ、飛光よ』発売
・2008年 最終便『旅する力 ― 深夜特急ノート』発売

なぜこんなに時間がかかったか、ということもエッセイには書かれており、それを読むと著者と一緒にこの旅の余韻みたいなものを楽しめる。

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印象的だったのは、言語学者・大槻文彦氏が『大言海』にまとめた旅の定義。

家ヲ出デテ、遠キニ行キ、途中ニアルコト

シンプルでいいね。
途中にあること。それが旅だそうです。