カテゴリ:
Looopsの斉藤さんの「ソーシャルシフト」というプレゼン資料を見て、そこで初めて「オープンリーダーシップ」というコンセプトを知って膝を打つような思いがした。


謙虚に、かつ自信を持ってコントロールを手放すと同時に、その相手から献身と責任を引き出す能力を持つリーダーのあり方。

1.顧客や社員の持つパワーを尊重する
2.絶えず情報共有して信頼関係を築く
3.好奇心を持ち、謙虚になる
4.オープンであることに責任を持たせる
5.失敗を許す

(「ソーシャルシフト」75ページ目より)


ライブドアのような会社でネットのサービスの開発やメディア事業をやっていると、自然とこういうリーダー像が求められるし、リーダーもそれにあわせた振る舞いをするようになる。それを、従来のリーダーシップと区別するときに「オープンリーダーシップ」という言葉があるとすごく便利。だから、膝を打つ思いがした。


というわけで、この「オープンリーダーシップ」について書かれた『フェイスブック時代のオープン企業戦略』を読んだ。


フェイスブック時代のオープン企業戦略フェイスブック時代のオープン企業戦略
著者:シャーリーン・リー
販売元:朝日新聞出版
(2011-05-06)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


これは『グランズウェル』の著者のシャーリーン・リー氏の最新作なんですが、英題をそのまま採用せず、市場におもねった結果としてかえってわかりづらく短命そうなタイトルになってしまってます……。原題の『Opne Leadership』は表紙に透かしで入っているだけなので検索にも引っかかりませんw

まあそれはさておき。

---

この本にはザッポスやデルやスターバックスやシスコやP&Gといった事例がたくさん出ているんだけど、オープンリーダーシップが求められる前提(というかカルチャー)を自分が所属する会社や業界に引きつけて言葉にしてみた。


・ソーシャルメディアを事業の中核にしていることで、常日頃からユーザーの意見を浴びている。また、ネットに書き込まれるユーザーの声が起点となって、熱烈なファンコミュニティが育ったり、大炎上が起こったりするのを当事者として何度も体験している。

・ネット業界内での転職が盛んで、元部下が新しい会社では上司になったり、外注先のスタッフが別会社でクライアウントになったり、といったことがよく起こる。そのため、上位下達による従来のリーダーシップは長期的な信頼関係の構築に向いていない。

・社内外のネットワークが異様に発達しているため、悪い噂や「ここだけの話」はすぐ広まる。そのため、日頃から裏表のない発言・行動をすることに大きなメリットがある。



こう並べてみると、ある人間がある集団をコントロールしようとしてもそりゃ無理だよな、という気がする。

そこで「オープンリーダーシップ」なわけですが、この本に描かれているその人物像の特徴を抜き出すと『楽観的で、チームプレーを好み、好奇心があって、謙虚』ってことになるそうです。

もうちょっと詳しく表現している部分があったので、そこも抜き書きしてみます。


従来のリーダーシップとオープンリーダーシップの違い(p262)

自分らしさや情報の可視化について考える時間は少ない。

新しい関係作りのために、自分らしさのマネジメントや情報の可視化を重視する。


戦略を決定し、階層組織を通じて指揮統制を行う。

戦略を決定し、ビジョンの共有を通じて献身と協働を促す。


自身のコミュニケーション能力でビジョンや戦略を発信する。

ネットワークを使ってビジョンや戦略を浸透させる。


リーダーシップは得難い貴重な資質だと考えている。

リーダーシップはどんな人にも潜在的に備わっていると考えている。


主に経営幹部とのエンゲージメントを維持する。

組織内外のあらゆる階層とのエンゲージメントに積極的である。


取引を通じて信頼を得る。

エンゲージメント通じて信頼関係を醸成する。


情報漏洩を恐れ厳格にコントロールする。

信頼関係の下での情報共有を促す文化を育てる。


服従と連帯のためのルールを作る。

リスクテイクのためのルールを作る。


とはいうものの、なんかどれも納得で、(自分にとっては)あまりおもしろくない。


自分の現在所属する組織(つまりライブドア)の課題は、こういう共通認識をベースに、どう具体的に制度化して、カルチャーを強固で魅力あるものにしていくか、ということ。

その意味でこの本は、すでにこれらのことが共通認識になっているようなネット企業の人には、あまりおすすめできない気がする。ザッポスやデルやスターバックスやシスコやP&Gの事例が示すように、ネット業界の外の人にはいいかもしれません。

---

ちなみに、具体的に制度化する方法や、カルチャーを強固で魅力あるものにするプロセスについては、『ザッポス伝説』が参考になりました。

顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか
著者:トニー・シェイ
販売元:ダイヤモンド社
(2010-12-03)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る