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昨年、情報社会学の公文俊平さんをライブドアにお呼びして有志の勉強会をしたのがきっかけで、井原さんに教えてもらったのが岡田斗司夫さんの『ぼくたちの洗脳社会』(95年)。

10万部も売れたベストセラーでありながら、当時ほとんどの人に理解されなかったといういわくつきの本ですが、これをいま読んだらものすごくおもしろかった。まさにいま読むのがちょうどいい本だと思った。


ぼくたちの洗脳社会 (朝日文庫)ぼくたちの洗脳社会 (朝日文庫)
著者:岡田 斗司夫
販売元:朝日新聞社
(1998-10)
販売元:Amazon.co.jp
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読後の興奮そのままに、会った人にこの本をお勧めしてまわったあとに気づいたんですが、「洗脳社会」といういささか時代遅れなキーワードを「評価経済社会」というキーワードにアップデートした新版が今年になって発売されていました。すいません、今から買う方はこの新しい方をお薦めします。


評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている
著者:岡田 斗司夫
販売元:ダイヤモンド社
(2011-02-25)
販売元:Amazon.co.jp
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当時は「パソコン通信のフォーラム」を例にとって説明していたものが「Twitter」に変わっていたりとあちこちにアップデートがかかって読みやすくなっています。
しかし、論旨は最初の版とまったく同じ内容。16年経っても古びていないってことだから、これはすごい。

ちなみにこの本は、岡田斗司夫さんがダイニングテーブルで奥さんに語ったお話が元になっているそうです。まずそこで、相手に楽しませながら聴かせる、というフィルターがかかっています。その後、そのときのメモをもとに奥さんが本の構成を書き起こしたそうなので、第三者によって分かりやすく読ませるフィルターがかかっています。

未来の社会を予見する本は多々あれど、この本が抜群に面白くて読みやすいのは、きっとそういう理由によるものです。サービス精神にあふれた、いい本ですよ。

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『ぼくたちの洗脳社会』(『評価経済社会』)が生まれるきっかけになったトフラーの『第三の波』(80年)と堺屋太一の『知価革命』もさかのぼって読んでいるんですが、こちらもこちらですごくおもしろかった。細かいツッコミはあれど、骨格は古びてなくて非常に刺激的。これが30年前の本だもんなあ…。