カテゴリ:
金曜日に映画館で観て涙し、その晩のうちにAmazonでDVDを注文し、翌土曜日に届いたそばからリピートしてまたしても涙しています。しかも夫婦で。なんの話かって『オペラ座の怪人』(25周年記念公演)の話。


オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン [DVD]オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン [DVD]
出演:ラミン・カリムルー
販売元:ジェネオン・ユニバーサル
(2012-01-25)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


オペラ座の怪人という、人気NO.1殿堂入りミュージカルを初心者の自分がレビューする必要なんてないので、ここでは、ミュージカルを食わず嫌いしている幾人かの友人に向けて、ミュージカル初心者の私が『オペラ座の怪人』を観るたびに涙するようになるまでのごく個人的な理由によるおすすめをしていきますよ!


まず曲がいい


つい最近まで、オペラ座の怪人に対する予備知識はゼロでした。わずかに「デーデデデデデー♪」というあの有名なテーマを知っているだけ。
そんな自分に、奥さんがYouTubeで見せてくれたのが「All I Ask of You」と「Think of Me」。







シンプルなのに飽きが来ず、ストレートなのに様々な解釈の余地を残す懐の深さがある、素晴らしい曲たち。しかも、後に知ることになりますが、これ以外の曲もほとんど捨て曲なしという、化け物みたいな完成度です(こういう曲を自分も書きたいわー)。


そしてテーマがいい


次に観たのは、ミュージカルのストーリーと音楽を映画にした2005年の作品(上にあげたYouTubeの元の映画)。


オペラ座の怪人 通常版 [DVD]オペラ座の怪人 通常版 [DVD]
出演:ジェラルド・バトラー
販売元:メディアファクトリー
(2005-08-26)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


タモリなんかがよくミュージカルをくさすような発言をするけれど、確かに、ミュージカルってクセがある。突然歌いだしたりすごい声を出したりなんなの? ってw
でも、この映画版だとそのあたりがほどよく脱色されていて、普通の映画と変わらずに抵抗感なく楽しめる。

結果として、音楽だけではなく、ストーリーやテーマ性の素晴らしさがものすごくよくわかった。

オペラ座の怪人というキャラクターは、人殺しや逆恨みや誘拐や、やっていることだけ箇条書きすると単なるストーカーや犯罪者にしか思えないんだけど、それが、真に迫って、他人事ではなく感じられる。

象徴的なのは、劇中で繰り返される「The Phantom of the opera is there inside your mind」というフレーズ。ミュージカルの中だけの話ではなく、「ファントムは(これを観ている)あなたの中にもいる」ということを意味するこのフレーズこそが、この物語が、初演以来25年に渡って世界中で愛されてきた理由なんだと思った。誰もが、醜いファントムに醜い自分を重ねざるを得ない。


はずれなしのミュージカル・オブ・ミュージカル


漫画を描いた漫画には傑作が多い。「まんが道」「編集王」「G線上ヘブンズドア」などなど。また、演劇を描いた演劇にも傑作が多いですよね。自分は詳しくないけど、三谷幸喜の「笑の大学」とか「ラヂオの時間」とか(もっと代表的なのが他にもあるはず)。

漫画や演劇に限らず、劇中劇の構造を持った作品は人を惹きつける。これ鉄板。

そういった構造をもった作品のミュージカル版、その頂点に君臨するのが『オペラ座の怪人』なんだなということが、(映画ではなく)舞台のフルバージョンを観てよくわかりました。


オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン [Blu-ray]オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン [Blu-ray]
出演:ラミン・カリムルー
販売元:ジェネオン・ユニバーサル
(2012-01-25)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


主人公のファントムは、端的にいうと作曲家。アコースティックギターの代わりにミュージカルを通して自分の中の孤独や欠落を埋めようとする、シンガーソングライターみたいなもんです。しかしその社会性のなさゆえに、他人とうまくコミュニケートできない。だからますます自分の王国に引きこもる…とまあこういうミュージカル・オブ・ミュージカルの構造を持っており、もうおもしろくないわけない。

あと一般的に言って、役者の演技や舞台装置や照明など、どれもこれも見所です。ほんと総合芸術って感じで何度観ても飽きない。


浅利慶太ではない訳で観るのがいい


映画館で観たバージョンは、劇団四季の浅利慶太の訳がそのまま字幕になっていたんだけど、DVD/BD版では通常の訳で観られます。これがすごく大事。

浅利慶太の訳は、音節の数に合わせて言葉を減らしているので、原文の意味がほとんど欠落してしまって、肝心なニュアンスを読み取り損ねてしまいますので、ぜひ、通常の訳のほうでみましょう(日本語字幕が2バージョンあります)。

自分も、通常の訳で観たときに初めて分かったことがありました。

ファントムは、クリスティーヌの愛にふれることで目覚め、そしてある部分で満たされるという、悲劇でありながら救済の物語でもあるんですが、それによって新たな音楽を生み出すことができなくなった、ということが今回すごく心に残りました。

なんかそういうのって心当たりあるわー、って感じで。

優れた作品は、それを受け取った人の心に「この作者はなんで私のことを知っているんだろう」という想いを抱かせるけれど、『オペラ座の怪人』はまさにそれだった。


いい話だから泣ける、とかそんなんじゃないんです


いい話だから泣ける、とかそんなんじゃないんです。

作品を通して自分の心の中を覗くことで、そこにうずくまって泣き続けている小さな子どもを見つけて涙するとか、あるいは、あり得たかもしれないもうひとつの自分の人生の悲劇を弔って涙するとか、そういう感じです。

というわけで、奥さんとふたりして「このDVDはしばらく封印しよう」ってことになりましたw いい曲だけYouTubeでつまみ食いするのでいいじゃないかと。

とまあ、それくらいどハマりしました。
心当たりのあるお友達はぜひどうぞ。