3冊目にして、古川日出男の普通じゃなさに気づいた
古川日出男を初めて読んだのは2009年。村上春樹の『中国行きのスロウ・ボート』のリミックス小説を謳う『二〇〇二年のスロウ・ボート』(2003年)でした(その時の感想文)。次に古川日出男を読んだのはつい2週間前。奇想天外な大小説『アラビアの夜の種族』(2001年)でした(その時の感想文)。
これに弾みがついて次に取り掛かったのは、犬への呼びかけという特殊な文体で20世紀後半の人類史を振り返る『ベルカ、吠えないのか?』(2005年)。

著者:古川 日出男
販売元:文藝春秋
(2005-04-22)
販売元:Amazon.co.jp
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個人的にはあまり没入できなかったんですが、この作品が高く評価される理由はよくわかりました。Amazonのレビューを見ても絶賛されまくってますが、確かにすごい。作家の筆力が、ただの野心作と評されて終わりそうなアイデアを、未知の手触りをもった快作・傑作に押し上げています。
そこでやっと、遅ればせながら古川日出男の普通じゃなさに気づいて、手許にあった『二〇〇二年のスロウ・ボート』を再読してみたら、3年前に読んだ時とまったく印象が変わりました。
村上春樹の『中国行きのスロウ・ボート』のリミックス小説というコンセプトから、初読のときはなんとなくパロディ的な、手遊びとしてのおふざけだという印象をだったんですが、再読してみると、これはかなりマジな小説的試みであり、作家的に避けて通れないマイルストーンだったのだなと思うようになりました。
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この普通じゃない作家の、いちいち歯ごたえがありすぎる著作を、地図なしで手当たり次第で読んでいくのは結構きついので、割と切実にアドバイスを求めています。次は何を読んだらいいですかねえ。
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