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最近、本を買う基準が変わってきました。

いずれ電子書籍で出る本や、紙で買っても後日ブックスキャンに送ってPDFにしちゃうような本は電子書籍で買って、紙でしか機能を果たさない本を紙で買います。その代表が、辞典・字典。あの複雑な組版を組版は(おそらく今の)電子書駅では再現が難しいのと、ひとつのことを調べるつもりが寄り道していろいろ調べてしまうという快楽は他に変えられないので。

というわけで、気になっていた辞典・字典を大人買いしました。

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そのなかで今回レビューするのは、中村明氏の『感覚表現辞典』。

感覚表現辞典感覚表現辞典
販売元:東京堂出版
(1995-04)
販売元:Amazon.co.jp

文学作品等から「感覚」を表現する言葉の用例を集めた辞典。102人の作家の314作品より4642点の用例を集め、光影・色彩・動き・状態・音声・音響・嗅覚・触感・痛痒・湿度・温度の12分野に分類・整理する。巻末に感覚表現別の五十音順索引を付す。―漱石・芥川から春樹・ばななまで多彩な感覚描写を収録。

この本がどんなものか、もくじを見ればよくわかります。
こちら。

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「光影」の章では「月」や「雷」をとりあげ、「音声」の章では「叫」や「虫」をとりあげ、「触感」「痛痒」「湿度」とう章すらある。それらのキーワードに対して、小説から実例を取り出して掲載するという大変な作業の集積を行ったのがこの本というわけです。

感覚に頼るしかない自然現象、あるいは人間の感覚器が受け取る現象に対して、どのような表現が可能かなのか。この辞典は、それを考えるヒントになります。

しかし、実際に読んでみると、不満もあります。採録されている用例が、いまいち魅力的じゃないんです。「普通の表現ばっかりじゃん……」というような。しかしこれは、レトリック辞典ではないので、ある意味しょうがないのかもしれません。古今東西の全作品をさらうわけにもいかないので、有名作家のごく一部の作品だけが収録対象になるのも、しょうがないと思います。しかし、さまざまな表現が考えられる「食」の項目が雁屋哲(美味しんぼ)ばっかりってのもね……。

評価は5点満点中☆3つ。行き詰まったときのヒントくらいにはなるかも。