東京編集キュレーターズ第4回(コルク佐渡島さん)の個人的まとめ
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この記事は、その個人的なまとめと、質疑応答の時間が足りなかったために質問し損ねた疑問を記録しておくためのものです。主観や疑問の入らない全文書き起しは、おそらく、NAVERまとめで公開されると思うので、まずは一次情報を手に入れて検討したいという人はそちらをご覧ください。
佐々木大輔@sasakill
個人的なまとめ。作家の心を微分して一流から超一流に導くのが(作家付き)編集者の本分で、そのためには作家と編集者の距離は近くなければいけなくて、そのために講談社を離れて起業したのがコルク。
2013/05/01 21:14:39
なるほどコルクはこういうことを目指しているのかと思う一方、うまい編集とは? というテーマとは少し離れたところに着地したように思います。
なぜか。
佐々木大輔@sasakill
専属編集者がつく価値のある作家は日本で100人くらいでは。あとはセルフパブリッシングでやっていくのかも。(佐渡島)
2013/05/01 21:07:15
専属編集者がつくべき作家が100人しかいないということは、それに必要な編集者は10人(ひとりの編集者が10人を担当すると概算して)しかいないとも受け取れます。その他は、編集者が付く価値のない作家か、編集者がなくてもセルフでやっていける作家か、そのどちらか。
これは同時に、その100人を担当していない(あるいは、その作家を超一流まで導けない)編集者は必要ないという挑発的な発言にも読み取れました。もっと言えば、今後は自分(たち)のような超一流の編集者しか必要なくなると言っているに等しいとも受け取れるわけで、それは、よくありがちなネットと紙の対立構造ではなく、プロとアマ(あるいは超一流とそれ以外)という対立構造となる興味深い議論でした。
東京編集キュレーターズが「これからの編集とは?」「編集の民主化とは?」などをテーマに立ち上がったのを考えると、これはかなり挑発的なスタンスなわけで、その意味で、今回はかつてないくらい興味深い議論を含んだイベントとなりました。端的に言ってすごくおもしろかった。
時系列に沿ったツイートまとめ
Yamada Kiyohiro@kiyohero
うまい編集ってなんだ?セミナー @ B&B http://t.co/EmTgZabVV4
2013/05/01 19:36:46
佐々木大輔@sasakill
雑誌編集者には二種類ある(あった)。雑誌編集者と作家付き編集者。利益を出していたのは雑誌で、その中心は編集者。作家より編集者の給料が高いのはなぜかというよくある問いのひとつの答えは、利益を出していたのは雑誌、もっといえば編集者だったから。
2013/05/01 19:46:01
佐々木大輔@sasakill
作家が、読者とダイレクトにつながりを持てる時代において、編集者が介在する意味とは? コルクのエージェント業は、既存の大物作家と従前のつながりがあったから成立しているだけでは?(田端)
2013/05/01 19:50:43
佐々木大輔@sasakill
編集者は必要ないかもしれない。ただし、プロモーションする必要はある。それがエージェントの仕事。編集者がもし必要あるとすれば、それは美女にとっての鏡。どんな美女でも、出かける前には鏡を見る。(佐渡島)
2013/05/01 19:54:37
佐々木大輔@sasakill
作家が編集者を選べないように、編集者も作家を選べない。マッチングが編集長の仕事。(佐渡島)
2013/05/01 20:04:26
佐々木大輔@sasakill
漫画と小説の違い。漫画は、20ページの原稿でかつコマ単位で細かくフィードバックできる。でも小説はいきなり400ページでどん。一気にフィードバックはできない。こってりコミュニケーションする前者のほうが、いいものができやすい。(佐渡島)
2013/05/01 20:18:58
佐々木大輔@sasakill
川村元気は、宇宙ものの映画をやりたいというエゴが先にあって宇宙兄弟という題材を選んだ。自分は、作家と向き合うことで宇宙兄弟という企画が出てきた。そのような方法で企画するには、作家と編集者は近い関係である必要がある。(佐渡島)
2013/05/01 20:23:16
佐々木大輔@sasakill
超一流か、一流かの違いは、誰かから受けた影響に自覚的であるかどうか。知らず知らずのうちに取り込んでしまっている他人のアイデアに自分で気づき、心を微分していって自分にしかないものを発見できるかどうか。他人の考えを借りるのは楽で、普通の人はそれに慣れすぎている。(佐渡島)
2013/05/01 21:05:08
佐々木大輔@sasakill
専属編集者がつく価値のある作家は日本で100人くらいでは。あとはセルフパブリッシングでやっていくのかも。(佐渡島)
2013/05/01 21:07:15
すべては高レイヤーの話だったのだなーというところですべてが腑に落ちた。そういう意味では徹頭徹尾プロの話だったな
— カイさん (@kai4den) 2013年5月1日
佐々木大輔@sasakill
個人的なまとめ。作家の心を微分して一流から超一流に導くのが(作家付き)編集者の本分で、そのためには作家と編集者の距離は近くなければいけなくて、そのために講談社を離れて起業したのがコルク。
2013/05/01 21:14:39
東京編集C、「紙の編集はウェブに活きるか?」というのが継続した課題になっているのだが、過去2回参加させていただいた上での感想としては「紙媒体編集の天才は下手にウェブなどに打って出ず、紙の世界で手腕を振るわれた方が大きな金を生み出し、そしてウェブに利するのでは……?」って感じに。
— しの(無印)さん (@raf00) 2013年5月1日
東京編集C、佐藤秀峰氏の話と同じで「映画化やグッズ化、海外展開まで狙えるコンテンツホルダーやその素質を持つ者は、紙でもウェブでも儲けられる」というもので、かつ「プロアマの差?いや100人の超天才以外は関係ないよ」という強烈なぶった斬りがあったのでなんか「はぁそうすか」という。
— しの(無印)さん (@raf00) 2013年5月1日
今日の東京編集キュレーターズ、真面目な感想として。宇宙兄弟や働きマンなど超ヒット作を世に出した超ヒットメーカー佐渡島さん(かなりファン)のオフレコなお話の数々は極めて面白かったのだが、「超天才が超天才を見出し成功する話」以外のものではなかったな。
— しの(無印)さん (@raf00) 2013年5月1日
同年代の圧倒的なプロの仕事を見て、すごい、悔しい、ああなりたいって思ったなー。NHKのドキュメンタリーを間近で観た感じだ
— narumiさん (@narumi) 2013年5月1日
イベント全体を通して注意しなければいけないのは、単に「編集者」と言った場合でも「雑誌系の編集者」と「作家付き編集者」の2種類のどちらかを指しているケースがあり、さらに「エージェント業」としての編集者を指している場合もある、ということ。このあたりの曖昧さが、誤読の余地を残してしまっているので、あとからまとめだけを読む人はその点に気をつけてください。
疑問メモ
というわけで、疑問に思ったことをメモします。
佐々木大輔@sasakill
イベント終了後の疑問メモ。日本に100人しかいない超一流だけを相手にするエージェント企業として、その新たなる候補を探す手段としてのコルク新人賞は、もっと他にうまいやりかたがあるのでは?
2013/05/01 21:27:04
漫画でも小説でも映像でも、クリエイターはすでに新人賞など関係ないところで作品を発表しまくっているので、わざわざ旧来型の新人賞の応募を行うことが超一流の100人を発見する近道には思えないのだけれど、そのあたりはどうなんだろう?
質疑応答の時間に余裕があれば、もっといろいろ聞いてみたかったなあ。
関連本

出版:エンターブレイン
(2012-04-02)

著者:見城 徹
出版:集英社
(2009-03-19)
関連リンク
・プロとアマの境界線を聞きに行ったら「超一流以外はアマ」という区分だったでござる
・「超一流のプロと、アマがいるだけだ」。プロアマ論の難しさ
・東京編集キュレーターズ第4回に行って打ちのめされた
・「超一流とアマがいるだけ」ならアマチュアが楽しくやれるようなインターネットができればいいのかも -東京編集キュレーターズの感想-
おしらせ
プロアマ論に関する最新の論考は、以下の本に収録されています。

著者:佐々木 大輔
出版:焚書刊行会
(2013-05-09)
さらに関連リンク
大ヒット漫画を支える編集者・佐渡島庸平に聞く「プロとアマの境界線」
イベントの全文書き起こし。
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