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自分なんかが料理を語っちゃいけない、と思えるくらいの分別はありますが、ためになった本を黙っておけるほど慎み深くもありません。というわけで、恥知らずにもここに公開させていただきます。
何事もまず資料から、という人にはなにかしら参考になるかもしれませんよ。


『粗食のすすめ 夏のレシピ』 幕内秀夫


最近まじめに料理をするようになって真っ先に引っ張り出したのがこの本。
ほとんどの料理がひとつかふたつの素材の組み合わせで出来ているので、いわば和食の単語帳、あるいは「いろは」。文法を学ぶ前の基礎作りとして参考にしました。野菜がひとつあったら、それで一品作る。そのさまざまなバリエーションが学べます。

粗食のすすめ 夏のレシピ
幕内 秀夫
東洋経済新報社
2000-06


お気に入りはトマトの味噌汁。和風ダシをしっかりとって作ります。さっぱりとした酸味の効いた熱いスープが食卓のアクセントになりますよ。
味をまろやかにしたい場合は、卵を溶き入れて、よりさっぱりしたい場合は、塩を振って水気をしぼったキュウリを食べる直前に入れていただきます。

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基本の和食 (オレンジページブックス―とりあえずこの料理さえ作れれば)


生姜焼き、親子丼、けんちん汁、豚汁といった定番の家庭料理がもれなく学べる一冊。写真が大きく、手順も明快。値段も安い。この機会にAmazonのレビューを見てみましたが、なるほど評価が高い。



自分の場合、これはしょっぱすぎるだろうとか、甘すぎるだろうとか勘が働いても、まずは分量を正確に計って完コピしていきました。慣れ親しんだやり方を一度は疑い、妻に感想をもらって、そこから自分なりの基準を作り直していくのに、いい補助線となってくれました。なんの変哲もない本なんだけど、こういうのが一冊あると助かる。そういう本です。

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『ごちそうさまが、ききたくて。』 栗原はるみ


そして、栗原はるみさんの『ごちそうさまが、ききたくて。』 。
これは本当にすごい本です。

料理をするごとに栗原さんの偉大さがわかるようになり、いまや、彼我の距離のあまりの遠さに目眩がするほどです。文科系とも体育会系ともつかぬ知行合一のスーパースター、そんな風に思ってます。

さて、92年に発売されたこの名著。何を作ってもおいしいんですが、私がここから学んだのは、素材や調味料の分量といったレシピではなく、切り方・冷やし方・時間の置き方といった手順の大切さです。3ミリといったら3ミリ、2リットルといったら2リットル、冷水と言われたら流水ではなく惜しみなく氷を使う。こういったプロセスの積み重ねが、味のレベルを格段にあげるんだというのがよくわかりました。



手間を惜しまない栗原さんのレシピの中でも特に驚愕なのはカボチャの千切りサラダ。あのかたいカボチャを千切りに!
しかし、正気の沙汰とは思えないその下ごしらえを、心底から喜んで行えるのが栗原さんのすごさです。料理の過程にあるありふれたプロセス、たとえばトンカツの添え物のキャベツの千切りにさえ、打ち震えるような喜びを感じながら取り組む感性が行間に満ちていて、それがなによりすごい。
時間短縮のためでもなく、ダイエットのためでもなく、休日のハレのイベントのためでもなく、もっといえば、家族のためでも自分のためでもない、料理のための料理とでもいえるような純粋な喜びさえ感じられて、料理観がかわるような刺激を受けました。名著の誉れにいまだ曇りの生じないエヴァーグリーンな一冊。

とにかくすごいレシピばっかりなんですが、日常的によく作るのは「ニンジンとツナのサラダ」(最新のレシピがウェブで見られます)。なんてことのない料理に思えるんですが、新しいスタンダードになるレシピというのは本当にすごいです。

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応用編 : ネットのレシピ


こうして一通りやったことで、ネットにあがっているはずれレシピを避け、好みのレシピを探す勘が少しだけついてきました。

下の写真は、左上から、素材を別々に炒めるラタトゥイユ、鶏のムネ肉とエリンギの柚子胡椒炒め、セロリとミョウガの和風ピクルス、そして最近で一番の大当たりだった「煮干しの出し殻オイルサーディン」。ダシをとった後の煮干がもったないなと思ってきたんですが、今後はこれ一択。むしろ最初からこれを作ってもいいくらいおいしい。

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番外編 : 料理に対する考え方


『大人気料理家50人のニッポンのおかずBest500』。いろんな料理家のレシピのいいとこどりで、見ているとインスピレーションが湧いてきて飽きません。また、それぞれのレシピに料理に対する哲学がよくあらわれているので、お気に入りの先生を探すのも楽しい。




漫画『きのう何食べた?』。献立のトータルバランスや買い物の考え方のヒントに。
ひとつひとつの料理は、イメージと違って手抜き料理が多いので、あと一品ほしい場合に特に参考になります。




佐々木俊尚氏の料理本。男の思考回路で料理に向き合うとこうなる、というような見本。
内容はレシピ本ではなく理屈満載のエッセイ。合わない人にはとことん合わない(ということがAmazonのレビューからよくわかる)けれど、自分にはおもしろかったです。




干し椎茸を戻すとき、ある本では砂糖を入れろといい、またある本では入れても入れなくてもどっちもいいという。どっちが本当なの? そういった巷間に伝わる料理のコツに科学的な根拠を付けてくれる本がこれ。どのページを開いておもしろい。目から鱗。1971年に発売されてから売れ続けているロングセラーです。



ちなみに、この本を参考にして私は、干し椎茸のうまみを外に出したくないとき(含め煮や筑前煮の場合)は砂糖を入れて1時間弱、戻し汁にうまみを出してそれをフル活用するとき(ピェンロー鍋の場合)は水だけで半日、としています。

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以上です。
もっと上達して気が向いたら続きを書きます。