カテゴリ:
viral
via http://www.tintup.com/blog/11-types-of-viral-content-that-spread-on-the-internet/


気がついたらずいぶんひさしぶりの更新です。こんにちは。
この記事(↓)を読んでいろいろ言いたくなったので移動中の飛行機のなかでばばっと書きました。

バイラルメディアという言葉は、いつからパクリサイトや劣化コピーメディアのことになってしまったんだろう。
http://blog.tokuriki.com/2014/10/post_817.html



   *


田端さんの記事は味噌とクソを練り合わせたものを田楽に塗って熱々に焼き上げたゲテモノだし、徳力さんのは長さが自慢のお徳用ソーセージパンみたいなもんで最初の一口で味がわかってすぐ飽きがくる。

ええーい、どっちもどっちで物足りないわ!

集客の軸がSEOからSMOに移り変わるなかでFacebookやTwitterから爆発的なトラフィックを運んでくることに成功した時代の寵児・バイラルメディアうんぬんかんぬん……。はい、それはよくわかりました。耳タコです。

じゃあそれが従来のウェブメディアとどう違うのか?

というわけで、ど新規のブログを立ち上げてバイラルメディア的手法を実験してみた自分の経験から、従来のウェブメディアとバイラルメディアの違いを紹介したいと思います。ちなみに、その実験的なブログは開始から1ヶ月で30万PVに到達しましたので、そこそこうまくいったほうだと思います。

というか、「そこそこ」だなんて言うのはかっこつけすぎですね。実際のところ、順調にPVが伸びていくことにほんとびっくりしました! というのが本心です。

試行錯誤するなかで、自分の固定観念がひっくり返っていきました。
バイラルメディアの文章術はこんなにも違うんです。


文章を構造化しない。

小見出しはhタグで囲って、参照したいリンクがあれば正しいタイトルにaタグを使い、引用があればblockquoteタグで囲ってインデントをつける……という従来のお作法は全部逆効果。地の語りで流れるような調子の文章に比べると、見出しやリンクや引用といったお飾りに邪魔された記事はとても読みづらいんです。

検索のクローラーにとっては好都合でも、読んでいるのは人間。読者は書き手の語りをそのまま聞きたいと思うものです。そうして共感を得ないと、記事が広まっていきません。


エンドコピーでおぼえてもらう。

ソーシャルメディアからやってくる読者は、その媒体のことを何も知りません。のみならず、何度目かの訪問で毎度記事に満足してくれていたとしても覚えようとはしてはくれません。ブックマークにも、RSSリーダーにも入れてくれません。

それでも、自分の媒体を覚えてもらおうとすれば、記事を締めくくる定番のクリシェ、エンドコピーが有効です。「世界とつながる、MOVEする - TABI LAB」とか「そんじゃーね」とかそんな。なんでもいいんです。でもこの繰り返しが効いてきます。

名前が広まると、媒体名で検索してたどり着く人が増えます。ブックマークにも、RSSリーダーにも入れてくれない人たちが、空き時間にそのサイト名を思い出してスマホで検索して見にきてくれるようになります。こういう人が本当に大切。

いま思えば、従来のウェブメディアによくある「GoProのキーワード流入が増えた! やった!」というほうが歪で、キーワード流入の第1位が媒体名になることはとっても大事だし、目指すべき価値のあることです。


過去記事の再利用はあたりまえ。

ストック型の媒体であれば、記事のタイムスタンプを変えずに追記するのがお作法なんですが、バイラルメディアは違います。両面あるけど、どちらかといえばフロー型。過去に紹介した記事に新しい情報があれば、古くなったところだけ書き換えてまた新着記事としてあげていいんです。何度だってあげましょう。

同じような記事がブログ内にあったっていいじゃないですか。重複コンテンツとしてGoogleからペナルティを受けるかもしれない? 知ったこっちゃありません。読むのは人間です。適切なタイミングで届けることが大事です。


SEOから自由になれば、見出しはもっとおもしろくなる。

正確な商品名、人名、ブランド名を記入すること。できれば英語名も併記。そして人が検索窓に入力しそうな無骨なキーワードを組みあわせること。こういう書き方はSEOを意識していると自然に身につくのですが、これもバイラルメディアには関係ありません。略称やスラングのほうが、届くべき人のしっかり届いて好ましいです。

バイラルメディアは、情報取得のツールとしてではなく、感情をふるわせる身近な友人として振る舞います。優等生みたいに堅苦しい言葉を使う野暮な野郎は好かれないので、スラングを正しく使いこなして彼らがトライブの一員であることを証明するほうが優先されます。


不都合なことに目をつぶらないこと。嫌われ者になれ。

人の感情を刺激しようとしてネタを探すと、ポジティブな情報と同じくらいネガティブな情報が集まります。一部の人にとって不都合な情報というやつです。でも、その情報を取り扱うことが媒体のコンセプトに沿うならば、堂々と取り上げましょう。ときに自分が悪者になりますが、進んでそれを引き受けましょう。

その情報を取り上げるのに十分な知識があり、媒体としての大義名分があるならば、億することはありません。ポジティブなことしか書かないレビューブログや、いいね!だらけのソーシャルネットワーク大会とは違うんです。その覚悟を貫くことで、敵と味方が一緒に増えます。そしてその両方が、ともに貴重な財産になります。


コピペ上等。ただし、されるほう。

バイラルメディアは広まってなんぼ。自分の考えやインスピレーションが広まることが大事ですから、どんどんコピペしてほしいくらいです。2ちゃんねるもBLOGOSもSmartNewsも大歓迎。媒体名の刻印は、文章中に(そう、エンドコピーに)あります。そこで名前を覚えてくれた人は、次回は検索して本家サイトを直接訪れてくれるかもしれません。


アドセンスのことは忘れよう。

お金のことも書いておきます。
アドセンスはあまり相性がよくないと(現時点では)思います。悪くはないけど、根本的な思想のレベルで不一致があって、バイラルメディア的な媒体には合ってない。「ちんぽ」と書く必要があれば書くのがメディアの罪、それを許さないのはGoogleの罪。ってやつです。

メディアとして固定のファンができている状態ならば、記事広告、物販、書籍の販売、イベントといった媒体ポリシーと整合性のあるマネタイズ手段が正道。SEOを意識した文章だけを書いて小銭を稼ぎたいのなら、「NAVERまとめ」や「nanapi」に投稿するのと変わりありません。もちろん、それはそれでアリなんですが、そういう方法をあえて採らず、自分が命名したメディアで自分が編集方針を決める一国一城の主でありたいのなら、アドセンスではない別のやり方を考えましょう。いくらでもあります。


……と、ここまで書いた特徴をおおむね兼ね備えているレガシーなブログを我々はよく知っています。


やまもといちろうBLOG
http://kirik.tea-nifty.com/



ちょっと説明が必要なのはエンドコピーのところでしょうか。
例の「mixi」ってのがそれにあたります。

もうひとつニューカマーから挙げるとすればこれもそう。


Blog @narumi
http://narumi.blog.jp/



これらのブログがすごいのはすでによく知られていますが、これまでに挙げたバイラルメディア的手法という観点から見直してみてもやはり理にかなっていてすごいと思います。


えいっ。という感じでだいたい書きました。

【感動】【泣ける】【死ぬまでに〜したい】とか、笑ったらシェアとか、取って付けたようなクソどうでもいい管理人のコメントとか、内容もコピペでいいじゃんとか、みんなに嫌われるバイラルメディア的特徴というのはあくまで表面的なもの。紳士ならばそれをいちいち目くじらを立てず、本質を目を向けたいものであります。

バイラルメディアを実践してわかったのは、これはウェブのコンテンツをボット中心から人間中心に引き戻すムーブメントだということ。

人間中心のメディアを目指すときに有効なテクニックは、新しそうに見えて古いものばかり。過去のメディアの試行錯誤の遺産から学べることが数多くあるし、技術介入の余地が広大に残されています。いまのバイラルメディアがクソに見えるとすれば、文章がクソか、中の人がクソか、あるいはその両方かのどれかです。ただそれだけの話。

書き手ではない第三者が「バイラルメディア」というバズワードに期待したり失望したりするのは勝手ですが、書き手はそれに惑わされちゃいけません。人間中心の時代へのゆり戻しを楽しまなきゃ。私はそれにワクワクしながら、事業としても個人としてもメディアをやっているし、読者はそれを正直に評価してくれていると感じます。

ワクワクしたらシェア(一度言ってみたかったー!)。
というわけで今後とも何卒よろしくお願いいたします。


関連リンク


ウェブ時代の文章読本
http://narumi.blog.jp/archives/1809511.html