95冊目 「あのひとと語った素敵な日本語」 あのひと+ユビキタ・スタジオ
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いちるさんの紹介で知った奇書、村上陽子さん(配偶者・村上春樹さん)の覆面対談。

覆面なのになぜそう言い切れるのかと言われても困るが、とにかくそうなんだからしょうがない。読めばわかる。
春樹のファンであれば、どこもかしこもおもしろい内容だが、それを控除してもなお、これはちょっとした(つまりちょっとどころじゃない)本だった。
読後になお印象深いのは、青山(とは明言されてないんですが青山のことです)のマンションで暮らす者が感じる風景と心象を、謙遜や自慢や立場を抜きにして率直に語られていたこと。この本がもし覆面対談でなかったとしても、陽子さんはそのように直裁に語ったと思うけど、とにかくそういう話は他のどこでも聞いたことがなく、大変おもしろかった。
あとは、結婚観とセックス感ね。『ノルウェイの森』の緑が奥さんをモチーフにしているという話は聞いたとこがあるけれど、まさに。緑は、仏壇の前で「お父さん、これが私のおまんこよ」と言ったけど、陽子さんも同じことを言いかねない雰囲気を感じる。とっても魅力的。
あとついでに、対談の相手が(言葉は悪けれど)クズなのもおもしろい。その意味でも奇書。
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