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僕が面接官をするときに、よくたずねることがあります。

「あなたがもっとも長く続けてきたことはなんですか?」

勲章でも、宝島の地図でもなく、どんな舟に乗っているのかという習慣を知りたくてそんなことを聞きます。
感心してこちらが身を正すような回答に出会うこともあるし、たぶんこちらの聞き方が悪いせいでうまく答えを引き出せないこともあります。長く継続している習慣ほど無意識のうちに行ってしまっているもので、とっさの質問では意識下に浮かんでこない、という事情もあるかと思います。だからそれだけで何かを測れるとは思っていないんだけど、僕自身が興味を持っていることなので、わりとよくたずねるわけです。

いつだったか、不思議なことがありました。

中途採用面談で社をたずねてきた男の自己紹介と志望動機を聞きながらいつものようにメモをとっていると、話の内容が手元のレジュメとずいぶん違っていることに気づいたんです。というか、まったく違う。

「失礼」といって話をさえぎり名を確認すると、彼はそこに書かれてあるのとは違う名を名乗りました。すみません、今なんと?

「ですから、代々木(よよぎ)と申します」














































































男とのダイアローグを3000文字ほど書き、数日寝かせ、結局、丸ごと削除し、変わりにそれと同量の改行を残すことにしました。

なぜか。

僕がこうやって長々と内省しているうちに、「佐々木さん、人って変われると思いますか?」と相談してくれた友人は、僕の誕生日にわざわざ仕事を抜けてプレゼントと手紙を届けにきてくれまして、その行動に僕は、言葉で何か語った気になるのが馬鹿馬鹿しく思えてきたというわけです。一連の記事の終わらせ方を悩んでいたところに、そもそものきっかけとなった友人がふいに現れ、風呂敷を畳むきっかけをくれました。どうもありがとう。

さて、なんの話をしていたんでしたか。

人は変われるか?
もちろん、変われる。
でもそれは、他人からではなく、自分からはじめなければならない。言葉ではなく、行動からはじめなければいけない。

よってこれ以上のおしゃべりは慎みます。
内省を終えたら、あとは沈黙して舟を漕ぐのみ。誰とも比較せず、過去や未来の自分とも比較せず、今ここ、自分のことだけ考えて、他者に働きかけよう。ピース。