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カテゴリ:ノンフィクション

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2010年から2011年にかけて数々の賞を受けた話題の山岳ノンフィクション(しかし「梅棹忠夫・山と探検文学賞」というのは今回初めて知りましたが、いろんな賞があるもんですねえ…)。

内容は、現代に残された最後の秘境「ツアンポー峡谷」を巡る探検。

空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む
著者:角幡 唯介
販売元:集英社
(2010-11-17)
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チベットの奥地にツアンポー峡谷とよばれる世界最大の峡谷がある。この峡谷は一八世紀から「謎の川」と呼ばれ、長い間、探検家や登山家の挑戦の対象となってきた。チベットの母なる川であるツアンポー川は、ヒマラヤ山脈の峡谷地帯で姿を消した後いったいどこに流れるのか、昔はそれが分からなかった。その謎が解かれた後もツアンポー峡谷の奥地には巨大な滝があると噂され、その伝説に魅せられた多くの探検家が、この場所に足を運んだ。

評判通り非常におもしろかったし、チベットの描写には、河口慧海に通じるようなところもあって、重層的な読書体験にもなった。うおー、チベット行きてー。

しかし、こういう最後の秘境ってあと幾つ残ってるんでしょうね? もうこれ以上ないんじゃないかと思っていても、なんだかんだ定期的に話に出てきますよね。


山岳マンガ・小説・映画の系譜山岳マンガ・小説・映画の系譜
著者:GAMO
販売元:山と渓谷社
(2011-12-16)
販売元:Amazon.co.jp
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ネットでも本屋の店頭でも押しに押しまくっていた『銃・病原菌・鉄』を読みました。
本の内容はこんな感じ。

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
著者:ジャレド・ダイアモンド
販売元:草思社
(2012-02-02)
販売元:Amazon.co.jp
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文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
著者:ジャレド・ダイアモンド
販売元:草思社
(2012-02-02)
販売元:Amazon.co.jp
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なぜ人類は五つの大陸で異なる発展をとげたのか。分子生物学から言語学に至るまでの最新の知見を編み上げて人類史の壮大な謎に挑む。ピュリッツァー賞受賞作。識者が選ぶ朝日新聞“ゼロ年代の50冊”(2000年から2009年の10年間に出版された本)堂々の第1位に選ばれた名著中の名著、遂に文庫化。

すごく話題になった本なので、今ではさまざまな知識人の精読を経ていて、この本の評判を検索すると、いろんな批判も数多く見られるようになってきています。それでも、この本のおもしろさは、いささかも減じません。

ダーウィンの『進化論』も、リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』も、トフラーの『第三の波』も、堺屋太一の『知価社会』も、さらにはグラハム・ハンコックの『神々の指紋』も、あるたったひとつのアイデアでこの世界の成り立ちを全部説明してしまおうというダイナミクスは共通しているし、そのダイナミクスの魅力と、その説の真偽とはほとんど関係ないと言ってもいいです(超古代文明の存在も、進化論も、誰が真に確かめられるというのか?)。

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この本は、銃・病原菌・鉄などの要素によって、各大陸における人類の文明がどのようにあ発展したか(あるいはしなかったか)を論じたものですが、特に印象に残っているのは、穀物・野菜や家畜に関する期限。人類が最初期に栽培に成功インゲンやオリーブなんかは、ふだん口にするときにも見る目が変わりました。こいつのおかげで人類の発展があったのか、と。

また、読後に、いまだ訪れたことのない南米やアフリカへの旅行欲が芽生えました。世界を見る目を一段と深くする効能が、この本にはあっておすすめです。

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微妙にポケモン世代からは外れているのですが、会社の同僚に薦められて読み出したらとまらなくなった。世界中で愛されるポケモンというゲームを創った田尻智氏が、こんなにも終末的なサブカルオタクど真ん中の人だったとは!


田尻 智 ポケモンを創った男 (MF文庫ダ・ヴィンチ)田尻 智 ポケモンを創った男 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
著者:田尻 智
販売元:メディアファクトリー
(2009-04-22)
販売元:Amazon.co.jp
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とまあそんな驚きで読み始めて、最初のうちはサブカルの世界観とポケモンの世界観が結びつかなかったんだけど、あのゲームが60年〜70年代は東京都町田市での生活感から生まれ、テレビゲームの集大成としての野望をもって作られたたものなんだと説明されると、なるほど確かにそう思えてきます。


町田について思い出すのは、隈研吾氏の『新・建築入門』。


新・建築入門―思想と歴史 (ちくま新書)新・建築入門―思想と歴史 (ちくま新書)
著者:隈 研吾
販売元:筑摩書房
(1994-11)
販売元:Amazon.co.jp
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東京を斜めに袈裟斬りする対角線上にある「秋葉原」と「町田」というふたつの都市の特殊性と象徴性について語られています。

その町田に投影しているものは、田尻智と隈研吾とで同じではないんですが、どちらかというとそこで幼少期を過ごした田尻氏の言葉が興味深かったです。ザリガニ取りをしていた沼がなくなり、団地ができ、駅前が開発されていき、巨大な郊外みたいなものがいつの間にか(でも突然に)立ち上がる。それをわずか数年のうちに体験するわけですから、リアリティとしてかないません。

その郊外的なるものは、なにも町田だけではなく世界中にあるわけで、そのあたりのリアリティがポケモンの世界観の成立に寄与しているんだなというのが、よくわかりました。ファンタジー的でもなく、SF的でもなく、郊外的なゲーム。それがポケモンだというわけです。

郊外といえば『地層地図β vol.1』がまさにそれに近いテーマで、ショッピングモール・団地・郊外を扱ってましたね。


思想地図β vol.1思想地図β vol.1
著者:東 浩紀
販売元:合同会社コンテクチュアズ
(2010-12-21)
販売元:Amazon.co.jp
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でもなんというか、リアリティという意味ではこの『田尻 智 ポケモンを創った男』が一番。
私自身は、郊外でもなく、団地でもなく、ショッピングモールとも縁遠いところで生まれ育ったので、そのあたりの感覚がいまいちわからなかったんですが、ポケモンを通していろいろ理解が深まりました。

ちなみに、団地といえばこの小説。


空中庭園 (文春文庫)空中庭園 (文春文庫)
著者:角田 光代
販売元:文藝春秋
(2005-07-08)
販売元:Amazon.co.jp
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文章は洒脱でテンポがよく構成も野心的でおもしろいので読みはじめると止まらないんだけど、中身の思想が追いついてないというか、今読むとちょっと時代遅れな感じになっています。文学には、人と人が理解し合うことの不可能性の先にある理想を描いてほしい。そういう意味では、非常に90年代〜ゼロ年代的な小説ですね。

あれ、なんの話だったけな。

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