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『インフォコモンズ』を読みました。


インフォコモンズ (講談社BIZ)インフォコモンズ (講談社BIZ)
著者:佐々木 俊尚
販売元:講談社
発売日:2008-07-17
おすすめ度:3.0
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この本には、ネットの世界に起こりつつあること/起こるかもしれないことが書かれているわけですが、そういうことよりもむしろ、佐々木俊尚さんらしいロマンティシズムと文学的な表現を楽しんで読みました。良書です。

なので、専門的なテーマの割には、ネットの世界に詳しくない人にもスラスラっと読めちゃうかもしれません。そしてできれば、そういう人の感想こそ聞いてみたい。『インフォコモンズ』のような世界をどう思うのか。ネット業界の人が思う当たり前との距離が知りたい。近いってことは、たぶん、ないんじゃないかな…。


関連リンク
「インフォコモンズ」読了 - チミンモラスイ … まとめ上手と言えば
ソーシャルメディアとしてのケータイ小説 … 佐々木俊尚さんらしいロマンティシズムと言えば

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新年あけましておめでとうございます。

元旦の今日、新幹線に乗って岩手に帰省したのですが、その間に考える時間がたっぷりあったので、それをまとめて2009年の抱負にしたいと思います。

車内で読んでいたのは、佐々木俊尚さんの『ブログ論壇の誕生』。


ブログ論壇の誕生 (文春新書)ブログ論壇の誕生 (文春新書)
著者:佐々木 俊尚
販売元:文藝春秋
発売日:2008-09
おすすめ度:3.5
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タイトルから誤解を受ける方もいるかもしれませんが、「ブログ論壇の誕生」そのものは最近のことではありません。だからその意味では新しさはないのですが、「団塊世代」と「ロスジェネ」の対立というパラダイムのなかでブログ論壇を多角的に捉えて、そのうえで「ブログ(CGM)はどうあるべきか?」といった問題提起にまで到達しているという点に、この本の大きな価値があると思いました。
とりあえず、仕事初めのときに同僚に何冊か配り歩こうと思います。

で、本当はこういう本を自分が書きたかったんだよなあ、と思いました。本音です。

実際には、本にまとめるだけの行動をしていなかったし、まとめたところで佐々木俊尚さんのようにはかけなかったと思うのですが、それでも、そんな風に思いました。

なぜか。

理由を説明するために、私のブログのサブタイトルの変遷を書いてみます。


僕たちの世代を語る言葉、とかとか
2007年のサブタイトル。
私たち(の世代)は何者なのか? どういう時代に生きているのか? といったことに答えてくれる「知のスーパースター」の不在を嘆いていた頃です。かつてはそういう人がいたような気がして、それがすごくうらやましかったんですよね。ただ、愚痴を言ってもしょうがないので、「自分たちの言葉は自分たちでつくるしかない」というメッセージを込めました。

80世代の定跡と力戦
2008年のサブタイトル。
76世代に対抗したわけではなく(笑)、「僕たちの世代」というくくりがあいまいだったので、具体的にしてみただけです。
意味を込めたのは「定跡と力戦」という将棋用語。耳慣れている「定跡」という言葉はそのままの意味ですが、「力戦」は定跡から外れた戦いのことで、過去に前例が無い局面において実力のみで戦うという場合のことです。棋士にもいろいろなタイプがいますが、仕事においては、定跡型も力戦型もいける人になりたいなという表現でした。

ロールモデルは菊池寛
2009年はこれ。
自分がなにをしたいか人に伝えるときに、以前は恥ずかしくて公言を避けてたんですが、最近あえて口にするようになりました。言い出だしてみると説明が少なくてすんで便利だし、言っているうちにどうにかなるかなと。

菊池寛というのはこういう人です。

菊池寛 - Wikipedia

菊池寛は、小説家、劇作家、ジャーナリスト。文藝春秋社を創設した実業家でもある。(中略)

私費で雑誌『文藝春秋』を創刊したところ大成功を収め、富豪となった。日本文藝家協会を設立。芥川賞、直木賞の設立者でもある。大映初代社長を務める。これらの成功で得た資産などで、川端康成、横光利一、小林秀雄等新進の文学者に金銭的な援助をおこなった。(中略)

麻雀や競馬に熱中していたことでも知られ、日本麻雀聯盟初代総裁を務めたり、馬主として競走馬を所有したりしていた。また将棋にも関心があり、「人生は一局の将棋なり 指し直す能わず」というフレーズを作ったといわれる。

みずからが創作に関わる人間でありながら、作家という職業を経済的かつ社会的に成立させるために、「メディア創出」「賞の設立」「パトロン活動」といった多角的な活動をした人です。また、多趣味な人だったというのもポイントです。

それと同じようなことを、ネットが普及した21世紀においてできないものかなあ、と考えています。


とまあそんなわけで、『ブログ論壇の誕生』という本は自分がものにしたいと思っていたテーマだったのです。でもすでに書かれてしまったからには、そのことにはもう興味がありません。
むしろこの本で問題提起された「ブログ(CGM)はどうあるべきか?」という問題に、行動として回答することに燃えています。

そのことに関する考えの一部を、つい先日、livedoor Blog開発日誌に書きました。

2008年のまとめと2009年の抱負 - livedoor Blog 開発日誌

「プロフェッショナルブロガー応援プログラム(仮)」と呼んでいるのですが、平たくいうと、おもしろいブログが書ける人がそれだけで飯が食えるような状況をつくり出すのが理想です。

専業のプロフェッショナルなブロガーが、優良なブログを更新することだけで生活できるようになれば、書き手と読者とブログサービス提供業者の恩恵がともに最大化されるのではないかと考えています。

「好きを仕事にするlivedoor Blog」というコンセプトの実現は大変な道のりかもしれませんが、2009年にぜひチャレンジしていきたいと思います。

やりがいのある、楽しい仕事です。

また、EDGE Co.Labというプロジェクトでは「何切る!?」というサイトとプロ雀士の吉田光太さんとも、シナジーを生み出すような取り組みを追求しています(詳しくはこちら)。

さらに2009年は将棋とマジック・ザ・ギャザリングについてもそういう活動がしたいし、青空文庫さんのような文学への貢献にも興味があります。

これらはどこまでが会社の仕事でどこまでのが個人の活動が実はとてもあいまいだったりするのですが、そういうところも含めて、「ロールモデルは菊池寛」だと言い切ることにしました。

というわけで、2009年も何卒よろしくお願いいたします。

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今年の10月以降、出版関連の事業に携わる方々と話す機会が増えました。話す内容の密度も、これまでに比べて上がっている気がします。ビジネスモデルに問題を抱えて“たこつぼ化”していた業界同士が、米発の不況の影響によって危機感を共有するようになったからかな、と思います。

そう思ってここ最近の自分のブックマークを見直すと、4マス媒体とインターネットでどうやって新しいビジネスモデルを構築するか、という話が多いです。すでに決定づけられていた流れが加速しただけとはいえ、これくらい集中してニュースや本が出てくるタイミングもそうないと思うので、引用して書き留めておこうと思います。


『情報革命バブルの崩壊』(文春新書)を上梓しました - 切込隊長BLOG

新聞やテレビといったレガシーなメディアがだんだん力を失ってきた代替がデジタルだネットだというのは良いけれども、じゃあ言われているほど私たちは恩恵を蒙って利益を享受し、住みやすい社会になったのかしらという問題意識を提起した本であります。


ソーシャルメディアは利益をあげられるか:否定的な調査結果も相次ぐ - WIRED VISON

広告売上がCGM(消費者生成メディア)の支えにならないとすると、何がCGMを支えるのだろうか? その答えは「何もない」という可能性がかなり高い。
従来のメディアと違い、ソーシャルメディアは贈与の経済で成り立っている。だから、『Wikipedia』の運営団体は非営利組織なのだ。


リスペクトに基づいたデジタルコンテンツ市場はグーグルモデルを超える - 佐々木俊尚のネット未来地図レポート 2008年12月1日号 vol.018

有料販売は規模が大きくなればプロ化するクリエイターも出てくるだろうが、しかし最大の目的はそのようにしてプロへの登竜門を作ることではなく、アマチュアが自分の作った書籍や動画を目の前で買ってもらい、見知らぬ人からの自分に対するリスペクトを感じ取れるような、そういう仕組みが出現してくることにある。「お金を支払う」という行為が意味しているのは、ただ生活を維持するというそれだけではない。お金を介在させることによって、人に対する尊敬の念を可視化させることもできるという意味もあるということなのである。


シュンペーターの逆説 - 池田信夫blog

著作権という名の独占レントがないとコンテンツ産業が成り立たないという利権団体の主張は、ナンセンスである。イノベーションにとって重要なのは、事後的な報酬の確実性ではなく、事前の自由度の大きさだから、情報の2次利用をさまたげる「知的財産権」の過剰保護は経済全体にマイナスだ。広告や購読料以外に、LinkedInのような新しい発想もある。いま必要なのは既存のコンテンツを守ることではなく、情報の共有を前提にしてビジネスを成立させる新しいビジネスモデルの実験である。


テレビ局、ニコニコ動画に動画提供へ--公式チャンネルを開設 - CNET Japan

ニコニコ動画にテレビ局が動画コンテンツを提供することが明かになった。公式チャンネル「ニコニコチャンネル」を12月5日より順次開設する。
ニコニコチャンネルは有料、無料の2種類が開設可能だ。チャンネル開設者はアクセス解析機能が利用でき、マーケティングの場としてニコニコ動画を利用できる。また、コミュニティーを開設してその参加者にだけ動画を公開したり、生放送をしたりできる。


最後に切込隊長の本を紹介します。今のタイミングで読むからこそおもしろい、というタイプの本だと思います。

情報革命バブルの崩壊 (文春新書)情報革命バブルの崩壊 (文春新書)
著者:山本 一郎
販売元:文藝春秋
発売日:2008-11
おすすめ度:4.5
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