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楊令伝(の文庫版)、ついに完結しました。
いやー、長かった。
楊令伝だけで全15巻、大水滸伝でいうと34巻目。
途中、気分的に中だるみもあったけれど、最後の怒濤の展開は、涙なくして読めませんでした。

楊令伝 15 天穹の章 (集英社文庫 き 3-81)楊令伝 15 天穹の章 (集英社文庫 き 3-81)
著者:北方 謙三
販売元:集英社
(2012-08-21)
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楊令伝の11巻を読み終えました。

北方謙三の「大水滸伝構想」(『水滸伝』を19巻、『楊令伝』を15巻、現在進行中の『岳飛伝』を16巻で全50巻)によると、これで60%の達成ということになりますが、正直言って、だんだんと読むのがつらくなってきました。

楊令伝 11 傾暉の章 (集英社文庫)楊令伝 11 傾暉の章 (集英社文庫)
著者:北方 謙三
販売元:集英社
(2012-04-20)
販売元:Amazon.co.jp
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水滸伝の梁山泊を、巨大国家に対する反政府ゲリラだとすると、楊令伝の梁山泊は、グローバル時代のベンチャー企業、みたいな感じ。

前者は大衆が熱狂するヒーロー像をつくりやすいけれど、後者はそれが難しい。反抗すべき父がいない世界で小さなクラスタのカリスマなるか、手本のない世界で悪役を買って出るしかないから。
つまり、社員には崇拝されるけど一般的には「誰それ?」の起業家か、小さなクラスタを飛び出したけれど必然的にヒールとしての役割がついてまわる大経営者(孫さんや三木谷さんや堀江さんや)か、という世界。

小さなクラスタのカリスマたらんとするのが、主人公の楊令。
ヒールとしての役割がついてまわる大経営者たらんとするのが、敵役の李富。

しかしこの両方に、ヒーローとしての求心力が弱いもんだから、読んでいてつらいんです(著者の技量によらず、この設定でぐいぐい読ませるエンターテインメントを書くのは大変だという気がします)。

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ちなみに、そういう時代にあっても、みんなの注目を集めるのが香川やダルビッシュのようなスポーツ選手であるように、楊令伝では戦闘の技術に特化したニューヒーローの存在が一服の清涼剤みたいになってますよね。たとえば、11巻で存在感を増してきた「秦容」とか。

歴代屈指の技術の高さがあっても歴史を変えるタイミングに居合わせているわけではないという意味でも、香川やダルビッシュを思い出しました(歴史を変えるタイミングに居合わせたのは、中田や野茂だったですよね)。

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というわけで、期待はすでに次の主人公・岳飛に移っているわけですが、その期待の源は岳飛が掲げる「尽忠報国(忠節を尽くし、国から受けた恩に報いること)」というスローガン。

反抗すべき国家がなくなり、グローバルに事業展開をするベンチャー企業のほうが力を持つようになった時代にあって、「尽忠報国」というスローガンは、とてもリアリティのある揺り戻しのひとつの形だと思います。グローバルだ個人主義だと言っている流れの一方で、国家や家族といった共同体を大事にしようぜ、っていうムードがありますでしょ。

キューバ革命を模して「替天行道」というスローガンではじまった北方水滸伝が、2010年代の今に通じる現代小説としてどこまで到達できるかという点で、そして北方謙三がどういう答えを用意するのかという興味の意味で、岳飛伝にはすごく期待をしています。

楊令伝はまだあと4巻あるのでそれは文庫版で追いかけるとして、岳飛伝はハードカバーで追いかけようかな、と思ってます。

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一冊一冊にそれほど感想はなくても、まとめて振り返ると意外に共通点がある、ということに気づいたので、ここ最近に読んだ本を振り返ってみる。箇条書きみたいな乱暴な書き方になっているかもしれないけれど、ここで取り上げた人のことはみんな尊敬していますので許してください。

水滸伝の別冊『替天行道 - 北方水滸伝読本』。設定集としてよりも、編集者との友情の書として興味深かった。『水滸伝』の内容的な成功と商業的な成功の背後にある、編集者とのパートナーシップと、巧みな戦略と、煮えたぎる執念を感じて、北方水滸伝がますます好きになった。


『水滸伝』の10年以上前に書かれた北方版の『三国志』を、今になって読み出した。ハードボイルドな劉備、愛妻家の呂布という新解釈のおもしろさはあるが、文体の完成度が『水滸伝』より劣っているので、ちょっと迫力に欠けるのが残念。でもそこから逆に、『水滸伝』の恐るべき完成度があらためてわかった。


河口慧海の『チベット旅行記』からおよそ15年後の旅行記がこれ、『第二回チベット旅行記』。筆舌に尽くし難いとはこのことで、どんな解説もできそうにない。
しかしとんでもなく偉い坊さんがいたものである。映画化されてもおかしくない。でも、映画化されてもおもしろくない。そういうものだ。


サイキック孔子伝『陋巷に在り〈1〉儒の巻』を再読。全13巻と長いけれど、この第1巻と続く第2巻のおもしろさは頭抜けてすごい。そういえば、北方謙三は『替天行道』で中島敦のことを尊敬してるって書いてたっけ。現代の中島敦とも呼ばれる酒見賢一の小説は読んでいるのかどうか、つきあいがあるのかどうか気になる。


『日本の10大新宗教』がベストセラーになった島田裕巳の新刊『3種類の日本教 - 日本人が気づいていない自分の属性』。ここでの「日本教」というのは、山本七兵(イザヤ・ベンダサン)が『日本人とユダヤ人』などで使用した言葉。それを、「サラリーマン系」「自営業・自由業系」「公務員・教員系」という3種類に分類する試みが本書。この考え方を使って細分化のゲームをすると、「日本教サラリーマン派トヨタ主義」とか、「日本教サラリーマン派シリコンバレー主義」とか言える。


隈研吾の『新・都市論TOKYO』。これまで自分は、街/町を歩いていて感じたことについて、「なんでそうなっているのか?」と考えたことがまったくなかった。南の島があたたかいことにあまり疑問をもたないのと同じように。
だけど、都市の風景に理由を求める思考のフレームを一度手に入れると、さまざまなことが一気にわかってものすごく新鮮だった。汐留のちぐはぐさと不気味さ、丸の内の空の広さ、六本木ヒルズと麻布十番商店街の親密さ。それらに、ことごとく説明がつくのがものすごく快感。あー、散歩行きたい。そして隈研吾がイチオシする北京にすごく行きたくなった(また中国の話しになった)。


続いて読んだのが、『新・建築入門―思想と歴史』。建築に興味を持ったことがないので、「ル・コルビュジエ」とか言われると、なにかのコントかと思ってしまう。いまなに考えてた? と話しを振られて「キェルケゴールについて」と答えるのがある種の人にとって冗談になるのと同じように。
なにかの言葉遊びのようではあるけど、わかりやすく書かれているので、冷やかしに逃げずに、最期まで真剣に読んでみようっと。


すべては中国に通ずってことで衝動買い。『TRANSIT(トランジット) 1号 美的中国』。横山光輝のイラストを使った三国志特集がたまらない。驚いたのは、全員が孔明の子孫であるという村の存在。中国ってば本当にすごいな。ちなみに、一緒に収録された山岳写真も美しかったので大満足。


山岳写真といえば、『一個人 (いっこじん) 2008年 06月号』を購入。世界各地の山岳写真に釘付け。チベット旅行記の河口慧海が見た景色もこんなだったのかなと想像しながら。

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水滸伝〈19〉旌旗の章

月に1冊のペースで刊行される文庫本を読み続けて1年半。全19巻をやっと読み終わりました。長かった〜。でも、苦痛だと思ったことはありません。おすすめです。

以下、ちょいとネタばれ。

楊令伝ハラスメント

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月に1冊のペースで刊行される文庫版の北方水滸伝(全19巻)を読み続けて17ヵ月。ついに、あと2冊で完結というところまできました。
でも、続編の『楊令伝』の宣伝が本にはさまっていて、それが軽くネタばれになってるってのはどうなんだ(笑)。真剣に怒ってるわけじゃないけど、これはひどい。

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