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動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか
著者:福岡伸一
販売元:木楽舎
発売日:2009-02-17
おすすめ度:4.0
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『生物と無生物の間あいだ』で知った福岡伸一さんの新刊『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』を読みました。

いろんなところに書いたエッセイを編み直して加筆したものだそうで、テーマはバラバラなのにコンセプトは一貫している、という優れた構成をもった本でした。

特に印象に残ったのは、「なぜ学ぶのか」という問いに、生物学的見地から回答をした一節。

私たちを規定する生物学的制約から自由になるために、私たちは学ぶのだ。(p58)

このことから、私たちは重要な箴言を引き出すことができる。「直感にたよるな」ということである。つまり私たちは、直感が導きやすい誤謬を見なおすために、あるいは直感が把握しづらい現象へイマジネーションを届かせるためにこそ、勉強を続けるべきなのである。それが私たちを自由にするのだ。(p60)

ここで言う「生物学的制約」というのは脳の神経細胞の話で、頻繁に使う回路だけに頼っていてはいけませんよ、というような話でした。

つまり「刺激」と「反応」の間には人の「選択」があって、その「選択」の幅を広げ、その「選択」に自らの意思を反映させられるようにするトレーニングする行為が、学ぶということなんだなと理解しました。

スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』などの自己啓発本によくある教訓が、生物学を根拠にして再構築されている感じで、そこに楽しい発見がありました(著者本人はそれを意図してないかもしれませんが)。

たとえば小池龍之介さんの言う「カルマ(業)」(感情の経験値のようなもの)も、脳の神経細胞の話として理解できます。

寺門琢己さんの言う「内蔵が感情を司っている」という話(そもそもは東洋医学の理論)も、「人間は考える管である」であるという文脈で理解することができます。

この部分はウェブでも読めるので引用します。超刺激的ですよ。


【ソトコト】(2007年8月号) 人間は考える管である 福岡伸一


第六感のことを英語では、ガット(gut=消化管)・フィーリングという。あるいは意志の力をガッツ(guts)と呼んだりする。ガッツがある、というときのガッツである。私たちは、もっぱら自分の思惟は脳にあり、脳が全てをコントロールし、脳はあらゆるリアルな感覚とバーチャルな幻想をつくり出しているように思っているけれど、それは実証されたものではない。消化管神経回路網をリトル・ブレインと呼ぶ学者もいる。しかしそれは脳に比べても全然リトルではないほど大がかりなシステムなのだ。私たちはひょっとするとこの管で考えているのかもしれないのである。

あと、武田久美子の食事法「食事は1日5回。小鳥のようについばんで」というのも、この本では生物学的な根拠を持って示されています。

とまあこんな感じで、文系の縦糸と、理系の横糸を編んでいくような読み方で楽しみました。前提知識によって受け取るヒントが違うと思うので、他者の感想もいろいろ読んでまわろうと思います。

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これまでの自分の考え



あらゆることに対して、言い訳が可能です。また、あらゆることに対して、責任を感じることも可能です。捉え方によってどうにでもなります。

だったら、「自分には責任がない、自分は悪くない」という言い訳をやめて、「どうやったらベターだったのか」を考えるほうが建設的ですよね。

言い訳をすることで、自分の影響力の環を狭めるくらいなら、責任を買って出て、自分の影響力の環を広げるほうがずっといい。と、そういう考えから「言い訳をしてはいけない」思っていました。

でもつい先日、「言い訳をしてはいけない」ということについて自分なりに新しい気づきがありました。


小池龍之介の本を読んで



小池龍之介さんは「家出空間」というサイトを運営しているお坊さんです。仏道の考えをやさしく(かなりやさしく)噛み砕いて説明してくれていて、本も話題になっているようです。

その著書『偽善入門』を読んで思ったのは、「自分には責任がない、自分は悪くない」という偽善的な言い訳とは逆の、偽悪的な言い訳があるということ。

・「みんなで力を合わせてがんばろう! って感じでお願いします」
・「世界をもっとハッピーにしよう! とかなんとか思っちゃったりして」

前半が本当のメッセージなのに、「自分はそんなにマジじゃない、熱血しちゃうほどダサくない」とワルぶりたくて、後半の偽悪的な言い訳が付随してきます。

偽善的な言い訳に比べて意識しづらいので、かなり頻繁にやってる気がします。でもそうやって本心の熱さや鋭さを隠していると、何事も成し遂げられないような気がします。というか、成し遂げられるわけがない。

偽善入門―浮世をサバイバルする善悪マニュアル偽善入門―浮世をサバイバルする善悪マニュアル
著者:小池 龍之介
販売元:サンガ
発売日:2008-09
おすすめ度:5.0
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日本プロ麻雀協会・鈴木たろうプロの言葉を聞いて



先日、第8回野口賞を獲得したばかりの鈴木たろうプロとお会いする機会があって、言い訳についてこんな言葉を聞きました。

言い訳は必ず見破られる。
にもかかわらず言い訳をするというのは、相手のことを言い訳が見破れないような人間だとなめてかかっているか、自分が言い訳をするようなレベルの低い人間であることをアピールしているようなもの。
だから言い訳はしない。

なるほどそういう考え方があるのかと感心してその場でメモをとりました。

最初からそういう話でしたが、まとめると「言い訳をしてはいけない」ってことですね。

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