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ポップスの終わり、ポップスの先(あるいは、Lampの新曲「さち子」はすごいからみんな聴け、という話)

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そういえば、ダフト・パンクの『Random Access Memories』の感想を書き忘れてました。

第一印象もよく、コンセプトアルバムとしての魅力もあり、聴きはじめて1ヶ月くらいはノリノリでリピートしていたんですよ。いろんな評論家の解説を読むのも楽しくて、「これはダフト・パンク版の『ヘッド博士の世界塔』だ」なんて言われるとおもしろくていろいろ考えるじゃないですか。でも、結局は深く熱中することなく飽きてしまいました。

頭に浮かんでいたのは「ポップスの終わり」という言葉。

分解され、再生産され、切り刻まれ、消えたかと思ったら高度な技術で蘇生手術を受けて現代によみがえったゾンビのよう。そうやってつるつるにアンチエイジングされたゾンビがもてはやされるのなら、ポップスの進化もここまでだよな、と。

一方、ライブバンドとしてのダフト・パンクは引き続きおもしろい。
先日のグラミー賞でのパフォーマンスも楽しんで観ました。
来日したら次も絶対に観たいと思ってます。



そういえば、ダフト・パンクの『Random Access Memories』というアルバムを、こんな風に表現している人がいました。

「さまざまなジャンルの音楽を融合してポップスに昇華させていった全盛期のマイケル・ジャクソンのようだ」

それで思い出した曲がこれ。マイケル・ジャクソンの「Behind The Mask」。死後に発表されたアルバム『Michael』に収録された未発表録音で、YMO(作曲・坂本龍一)のカバー曲です。



ロックとテクノとソウルが高度に融合したポップスのお手本みたい。めちゃくちゃすごい。
これがいまから30年くらい前の作品ですからね。ダフトパンクもっとがんばれ。

というようなことをここ数日考えていたんですが、「さまざまなジャンルの音楽を融合してポップスに昇華させているミュージシャン」という文脈でいま頭に浮かぶのはLamp。3年ぶりのニューアルバムから先行発表された「さち子」は、かなりすごいとこまでいっちゃった名曲に聞こえる。



数年前のライブで初披露された荒いアレンジでも衝撃を受けたけど、今回の録音盤は本当に隙がない。完璧。ライブのときに「すごい曲ができてしまった……」と興奮しているリーダー・染谷太陽さんがとても印象的だったけど、そのすごさが存分に伝わる内容になっています。この曲に寄せた「これ以上の曲は作れないかもしれない」というコメントも大げさじゃない。

何度聴いても震えるような名曲。ポップスにはまだ、こんな豊かな空間が残されてるんだよなあ……そんな感慨さえ湧き起ってきます。すごく幸せ。こんな風に「ポップスの先」を見せてくれる音楽に、あとどれくらい出会えるかなあ。

ゆめ
Lamp
P.S.C.
2014-02-05



関連記事


Lampの6thアルバム『東京ユウトピア通信』の強烈なミュージシャンシップ
http://sasakill.blog.jp/archives/50673139.html

前のアルバムの視聴会のときの、ファンとのやりとりの記録が残っていました(マメにブログを更新していてよかった)。

客席の男性:60年代、70年代と深化してきたポピュラーミュージックが、80年代になって、レコーディング技術の発展やMTVの登場などによって、別の道に進んでしまった。AORなどにあった可能性も、そこで閉ざされてしまった。でもLampの音楽は、そのときに掘り下げられなかった可能性を追求し続け、深化させている貴重な存在。もし未来のDJが良質な音楽を発掘しようとすれば、60〜70年代の音楽に続いて2010年のLampの音楽を発見するのではないか。それくらいに思っている。

そこで質問ですが、Lampには、21世紀の音楽を背負っているという自負はあるのでしょうか?

染谷太陽:はい。そのつもりでやってます。

※記憶による原稿起こし。間違ってたらすみません。

どやっ。
そして有言実行のニューアルバム。
ダフト・パンクの『Random Access Memories』とか聞いてる場合じゃない。

追記



最新のインタビューを見ても、だいぶ志が高い。

インタビュー記事はこちら。
http://www.hmv.co.jp/news/article/1401300036/

今回のアルバムからアレンジを担当した北園みなみさん。
https://twitter.com/M_KItasono

カテゴリ:
東京ユウトピア通信

Lampの新作『東京ユウトピア通信』(6th)が、ついに、やっと、出ました。長かった。
でも、時間をかけた分だけ、おそろしいくらいの完成度になっている(と思う)。少なくとも自分は、アルバムの発売を記念して開かれた試聴會で聴いてぶっ飛ぶような衝撃を受けたし、本人たちも鼎談でこんなことを言っていた。

『ランプ幻想』(4th / 2008)を作った後も、『八月の詩情』(5th / 2010)を作った後も、やりたいことは残っていたけど、今回の作品は遣り残したことがない。次に何を作ろう、というのが思い浮かばない。

※記憶による原稿起こし。間違ってたらすみません。

出し尽くした、みたいな意味だと捉えました。

でも実はこれ、リスナーである自分にとっても同じことだったりする。
こんな密度をもった、こんな完成度の音楽を聴いたら、これ以上Lampに何を期待していいのかわからない。『ランプ幻想』のあとも、『八月の詩情』のあとも、まだまだ上を期待して新作を待っていたけど、今回は完全に満たされた。この最高到達点が次に更新されるってのがどういうことなのか、想像がつかない。

---

試聴會のもうひとつの収穫は、客席からの質問コーナーのときに挙手して、Lampへの熱い想いを延々と語り続けた最前列に座っていた男性の言葉と、それに対するリーダー・染谷太陽氏の言葉。意訳するとこんな感じ。

客席の男性:60年代、70年代と深化してきたポピュラーミュージックが、80年代になって、レコーディング技術の発展やMTVの登場などによって、別の道に進んでしまった。AORなどにあった可能性も、そこで閉ざされてしまった。でもLampの音楽は、そのときに掘り下げられなかった可能性を追求し続け、深化させている貴重な存在。もし未来のDJが良質な音楽を発掘しようとすれば、60〜70年代の音楽に続いて2010年のLampの音楽を発見するのではないか。それくらいに思っている。

そこで質問ですが、Lampには、21世紀の音楽を背負っているという自負はあるのでしょうか?

染谷太陽:はい。そのつもりでやってます。

※記憶による原稿起こし。間違ってたらすみません。

なるほど、そういう強烈に高い意識のミュージシャンシップで作られているのかと思ったら、おそろしいくらいの完成度に納得した。そして、一生ファンでいるぜと思った。


iTunesでも買えます。よかったらどうぞ。
っていうかぜひ売れてほしいなあ。

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ちなみに、過去のライブを振り返ると、今回のアルバムに収録された曲はずいぶん前から演奏されてたんだな、ということがよくわかる。「空想夜間飛行」と「君が泣くなら」と「冷ややかな情景」と「君と僕とのさよならに」と「ムードロマンティカ 」は2年前のライブですでにセットリストに入ってる。

EP『八月の詩情』を出したばっかりのLampのライブに行ってきた
Lampライブ@下北沢440
Lamp幻想ライブ@月見ル君想フ

EP『八月の詩情』を出したばっかりのLampのライブに行ってきた

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EP『八月の詩情』を出したばっかりのLampのライブに行ってきました。

1.インタールード
2.空想夜間飛行
3.八月の詩情
4.雨足はやく
5.ムード・ロマンティカ No.1
6.ひろがるなみだ
7.最終列車は25時
8.雨のメッセージ
9.青い海岸線から
10.冷ややかな情景
11.今夜も君にテレフォンコール
12.抱きよせたい
13.密やかに
14.昼下りの情事
15.雨降る夜の向こう
16.日本少年の夏
17.遠い旅路
18.風の午後に


過去2回の国内ライブ(@月見ル君想フ / @下北沢440)と比較して、凝った曲、ヘビーな曲、意欲的な曲が多かったような気がして、選曲的には大満足。15曲目「雨降る夜の向こう」から「日本少年の夏」と「遠い旅路」に続く流れはぐっときましたね。

代わりに、バンド演奏の練習量というか、熟れた感じは足りてなかったけど、それは次回のライブに期待ということで。
とにかく今回は新曲がよかったので、それだけで大満足。『八月の詩情』はマジでいい!
期間限定生産とのことなので、欲しい方はお早めに。

八月の詩情八月の詩情
アーティスト:Lamp
販売元:MOTEL BLEU
発売日:2010-08-04
クチコミを見る

Lamp幻想ライブ@月見ル君想フ

カテゴリ:
今年になってからLampを聴き出した俺が初めてLampのライブに行ってきましたよ。



一番の不安は「実は歌が下手だった…」というキリンジパターンだったんですが、最初から最後まで安定感があって、実に素晴らしいライブでした。

全アルバムからバランスよく選曲されたセットリストもすばらしくて、特に後半の「雨降る夜の向こう」と「冷たい夜の光」にはライブならではの迫力があって感動しました。ああいった難解なポップスのライブでこれだけ素直に感激させられるなんて、まったく思ってませんでした。すごくいい経験をしました。

媚のない良質な音楽と、媚のないアンガールズのようなMCと、その両方の魅力にどっぷりはまりそうです。

Lamp第1幕
1イントロ
2木洩陽の季節
3部屋の窓辺
4風の午後に
5最終列車は25時
6君が泣くなら
7夢を見たくて
8日曜日のお別れ
9抱きよせたい
10密やかに
11空想夜間飛行

Minuanoステージ
1レモン哀歌
2恋人たちの雨
3それいゆ
4果てるともなく続く宙

Lamp第2幕
12ひろがるなみだ
13街は雨降り
14冷ややかな情景
15君と僕とのさよならに
16雨降る夜の向こう
17ムードロマンティカ No.1
18冷たい夜の光
19今夜も君にテレフォンコール

http://lampnoakari.jugem.cc/?eid=725

ニューアルバムはまだ先だけど、ある曲だけでプレイリスト作って余韻を楽しもうと思います。

カテゴリ:
ランプ幻想ランプ幻想
アーティスト:Lamp
販売元:ヒップランドミュージックコーポレーション
発売日:2008-12-03
クチコミを見る

さぶかるちゃん : キリンジ大注目のバンド「Lamp」」という記事を読んでから、このバンドに大はまり中です。

まだ最新作の『ランプ幻想』しか聴いていませんが、「雨降る夜の向こう」や「白昼夢」が一聴してのお気に入りです。ただ、それ以外も全曲素晴らしい。土着的なのに都市的な部分を「はっぴいえんど」的と言ってもいいし、難解なのにポップな部分を「キリンジ」的と言ってもいいけど、心の底から「こういう音楽を聴きたかったんだ」と思える音楽です。

そのLampのメンバーがブログでキリンジのことをこんな風に書いています。

キリンジ―ペイパードライヴァーズミュージック - こぬか雨はコーヒーカップの中へ

ペイパー・ドライヴァーズ・ミュージックペイパー・ドライヴァーズ・ミュージック
アーティスト:キリンジ
販売元:ダブリューイーエー・ジャパン
発売日:1998-10-25
おすすめ度:5.0
クチコミを見る

音楽界がこういう人たちばかりだったら、間違いなく僕は音楽をやっていなかったと思います。
邦・洋ポップス史を見渡してみても、ここまで質の高いポップスを作ったミュージシャンはいないと思います。

キリンジはもともと「ミュージシャンズミュージシャン」と呼ばれるくらい音楽業界内での評価が高いのですが、それにしても、ここまで確信を持って絶賛する例というのはあまり知りません。
でも、だからこそ、Lampというバンドがさらに大好きになりました。その絶賛が嘘じゃないことは、音楽を聴けばわかるので。




今日になってライブに申し込んだけど、間に合うだろうか…。生の演奏を聴きたいなあ。

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