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20冊目 『オービタル・クラウド』 藤井太洋

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実際のところ、これを読まずに2014年は終われない。と言ってもいい小説。

サン=テグジュペリが『夜間飛行』や『人間の土地』で地上から見える国境のない世界を提示したように、藤井さんはさらに上空(宇宙空間の入り口の高さ)から新しい世界を見せてくれた。

地表があって、宇宙があるのではない。地表からすでに宇宙につながっている。海があらゆる国に面しているように、いま自分が立っている場所がそのまま宇宙に直結している。それを実感させるのは、いくつかの道具の力を借りた人間の智慧と想像力だ。私はこの本を読み終わって、思わず空を見上げた。文字通り、フィジカルに、本当に。

2014-12-07-20-00-47

藤井さんの小説に共通するのは、高度に発展したサイエンスのダークサイドと戦い勝利する労働者たちの姿だ。オフィスでも電車でも夫婦の寝室でも青白いスクリーンに呪縛されている私たちの心理は自然、主人公たちを応援し、またその活躍に共癒されることになる。
年末年始の休暇に読むものを探している企業戦士たちにおすすめ。



1冊目 『ヨハネスブルグの天使たち』 宮内悠介

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読み終わったものだけ書く。というルールを課していたら近頃なんにも書けなくなった。でも本を読まない日はない。だったら読み終かけでもなんでもいいから書けばいいじゃないかと思って書くことにする。

内容については、触れるつもりではあるけれど、触れないかもしれない。まあどっちでもいいや。とにかく、ただの背景、ただの静物でしかないとしても本の紹介を続ける。

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前作『盤上の夜』同様の短編連作。SF大賞特別賞を獲った話題作で、表紙にその雰囲気はないけれど初音ミク的なものがモチーフになっているのでその文脈で興味を持って読む人もあるかも。

全体に説明不足な、突き放したような文章なんだけど、それで内容がわからないかというと、そんなことはなかった。
著者の宮内さんは79年生まれの同世代。麻雀プロを目指したあと、プログラマーになってのちに作家へ。同世代の感性への信頼感があるからなのか、自分の解釈を疑わずに読めた。説明不足と思えた文章は、次第に、ほどよい断絶と飛躍に感ぜられて、最後の方には詩心まで感じた。



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14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に
著者:宮台 真司 (みやだい しんじ)
販売元:世界文化社
発売日:2008-11-11
おすすめ度:4.0
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『14歳からの社会学』で宮台真司は、「SF作品は社会批評であり、社会学と相性がよい」としていくつかのSF作品を紹介しています。そこでこの記事では、あとで自分が買ったり読んだりするためのリンク集をまとめてみます。

ちなみに、数あるSFの名作のなかでなぜこれらの作品が、これらの順番で取り上げられているかについては、ぜひ本書をご覧ください。「14歳からの〜」とは言ってますが、えらくわかりやすくてオトナ向きです。


華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)
著者:レイ ブラッドベリ
販売元:早川書房
発売日:2008-11
おすすめ度:5.0
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地球幼年期の終わり (創元推理文庫)地球幼年期の終わり (創元推理文庫)
著者:アーサー・C・クラーク
販売元:東京創元社
発売日:1969-04
おすすめ度:4.5
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感想を書いた記事



第四間氷期 (新潮文庫)第四間氷期 (新潮文庫)
著者:安部 公房
販売元:新潮社
発売日:1970-11
おすすめ度:4.5
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他人の顔 (新潮文庫)他人の顔 (新潮文庫)
著者:安部 公房
販売元:新潮社
発売日:1968-12
おすすめ度:4.5
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未来惑星ザルドス [DVD]未来惑星ザルドス [DVD]
出演:ショーン・コネリー
販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
発売日:2008-01-18
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THX-1138 ディレクターズカット [DVD]THX-1138 ディレクターズカット [DVD]
出演:ロバート・デュバル
販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2007-11-02
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幼年期の終わり』を読んで気づいた。

第1部の「オーバーロード」を「Google」に読み替えると『ウェブ進化論』と似たような内容になる。それで、「そうか『ウェブ進化論』はSFとして読むといいかもしれない」とひとり合点がいった。

- 所詮はSFだが、示唆に富んでいる
- 示唆に富んでいるが、所詮はSF

どう読むかはそれぞれだけども。

関連リンク : 幼年期の終わり - Wikipedia

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