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ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉であるネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である
著者:いしたに まさき
販売元:技術評論社
(2010-11-27)
販売元:Amazon.co.jp
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刷り上がったばかりだという“いしたにまさき”さんの最新刊『ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である』の到着を、我が事のように心待ちにしていました。ブロガーやエンジニアやサービス運営者などあわせて110人にアンケートして作られたこの本に、私も1/110ながら協力させてもらったからです。

自分の回答がどう使われるんだろう? という興味もあったし、他の人の回答にも興味があったし、それを最終的にどうまとめるんだろう? ということにも興味がありました。

でもそれだけじゃありません。

この本は、この10年紀のインターネットの証言集であり、ソーシャルメディアの讃歌になるんじゃないかという予感がありました。そしてそういう本が誰かによって書かれるべきだと、思っていました。

だからなんというか、いしたにさんはその大役を担っていただいた、という感じがしています。ネットを通した活動を楽しんできた個人として、サービス運営者として、両方の立場でそう思います。

あとがきの冒頭に、こんな一節があります。

私はここ10年ほど、なんの根拠も当てもなく、ネットの中を時にはさまよい、時に恥もかき、時にはネット以外では味わえない貴重な体験をしてきました。これはまさに、ブログ・ソーシャルメディアの勃興する時期に、運良くその場に居合わせることができた幸運でしかありません。この幸運を自分の内だけに留めておくのは、私にとってルール違反だと思いました。

すごく共感します。

その意味で、この本ができあがるプロセスにおけるいしたにさんは、僕にとってのシャーマンのようなものでした。だから、この本の完成が我が事のように心待ちにしていたんだと思います。


そういうこともあって、アンケートの質問には全力で答えました。悩んだところはひとつもなくて、質問に導かれるかたちで“いつも考えているのに言葉にできなかったこと”がすらすらと出てきました。答えていてこんなに楽しいアンケートは初めてです。


あとはもう本書を手に取っていただきたいのですが、最後に自分の回答のところだけ紹介させていただきます(回答はいしたにさんに向けた口調になっていますが、それもそのままにしておきます)。


いちばん好きなWebサイト(Webサービスも含む)は?


マジック:ザ・ギャザリング | ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社 日本語公式ウェブサイト http://mtg-jp.com/

マジック:ザ・ギャザリングという、発売から14年が経つトレーディングカードゲームの元祖のサイトなのですが、その歴史はまさに、インターネット(特にソーシャルメディア)の歴史そのものと言っていいくらい、時代と伴走してきました。

北米、南米、ヨーロッパ、アジア、そして日本。世界中で毎日のように行われる大会の最新情報を即座に知り、ゲームの戦略を検討するには、ソーシャルメディアによる共有が不可欠だからなんですね。

そのため、ウェブサイトの作りも、当初はホームページ風の体裁からスタートしたものが、ブログ風になり、さらに最近はツイッターも活用しだしています。
試合の中継動画にしても、最初はReal Playerのストリーミング中継だったのが、YouTube / Ustreamを取り入れています。
もちろん、ファンを組織化するツールとしてmixi / Twitterも利用しています。

私自身が、10年来のマジック:ザ・ギャザリングのプレーヤーなのですが、そもそもインターネットにはまったきっかけは、マジックの海外情報を知り、かつ、自分の戦略を発表したいという想いからでした。

そのため、「いちばん好きなWebサイト」をひとつに絞れと言われると、このサイトになります。
ちょっとマニアックすぎて参考にならないかもしれませんが、このニッチさもまたいい例かと思い、イチオシさせていただきました(ちなみに、毎日チェックするサイトなので、本当にいちばん好きなWebサイトです)。



初めて見た時にいちばん衝撃を受けたWebサイト(Webサービスも含む)とその理由


・Movable Type(2.6)

初めて触ったのは2003年だったのですが、これに触れたときの衝撃たるやなかったですね。
確か、「Personal Publishing Tool」というキャチコピーがついていたのは、この2.x系統のバージョンだけだったと思うのですが、これこそがコンセプトを一言で表していると思います。Personal Publishingが本当にできるようになる! そのことに興奮しました。

より具体的に言うと、

1)構造化Web
2)RSSフィード
3)モバイル

というキーワードで表現できると思います。
1〜3のどれかひとつとっても、2〜3時間語れますよねw
いまで言えばツイッターにつながる萌芽が全部ここにありますもん。

ケータイから写真を添付してウェブサイトを更新するなんていまで当たり前ですが、当時はまじで感動しました。ネットとリアルがつながった! って。
まあ、そんな長く語ってもしょうがないし釈迦に説法なので以下略で。



ネットで情報発信する際にいちばん必要な個人のスキルはなんでしょう?


他者の意見に耳を傾ける謙虚さ。

ソーシャルメディアに発信した情報は、巡り巡って必ず自分のところにフィードバックが還ってきます。だからこそ、未完成でも未熟でも発信し続けることが大事で、その繰り返しの結果、自分が大きく成長することができます。

ただし、そのフィードバックを拒否して頑固に自説を曲げまいとすると、上昇のらせんが断ち切られて、負の連鎖に陥っちゃうと思うんですよね。「誰も俺を分かってくれない→だったら何も発信しないほうがまし→わかってないやつが偉そうに発言してるとROMってひがむ→でも、あれ? いつのまにか情報発信し続けたほうが本当に実力がついちゃってる」みたいに。

そうならないためにも、情報発信したらそれと同じくらい、他者の意見に耳を傾けて謙虚にフィードバックを受け取ることが大事だと思います。



あなたがネットで情報発信する際に心がけていることは?


ネット全体が、莫大な数の参加者がいるブレインストーミングのようなものだと思うので、正式なブレインストーミングのやり方と同じ以下の4原則を大事にしています。

1)判断・結論を出さない
2)粗野な考えを歓迎する
3)量を重視する
4)アイディアを結合し発展させる



あなたがネットでの活動を続けることができた理由はなんでしょう?なぜ続いてきたのでしょう?


やはり、自分が成長するということが、このうえなくおもしろいからだと思います。

思うに、自分を成長させることができるのは、自分ではないんですよね。
他者との関係だけが自分を成長させることができると思うので、情報を発信するということ(他者に働きかけるということ)は、つまるところ、内なる自分に働きかけることだと思うんです。

「インドラの網(帝釈天の網)」という仏教説話があるんですが、それは私の解釈によればこういうことです。「網の目そのものに、決まった形はない。糸と糸の結び目の相互依存によって、網の目のかたちがきまる」。

つまりこの網の目というのが人間ですね。となりなった網の目が常にそばにあり、相互に依存し、相互に変化している存在です。

そういう理解に立つと、情報発信によって他者に働きかけることでしか、人は変われないと言えます。
そして自分が変わっていくことが(それがよいほうに変わっていけばよりベターなわけですが)、なにより楽しい。

だから、ネットでの活動を続けることができたし、そこにはなんの苦労も感じませんでした。



さいごに



いま思うとずいぶん長々と回答してしまったなと反省するわけですが、本書のなかで「いちばん、誰も書かないことを書いて面白かったのが佐々木大輔さん」と言及されて救われました。

2010年という節目の時期に、インターネットの10年紀を振り返るの最良のテキストだと思いますので、強くお薦めします。

ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉であるネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である
著者:いしたに まさき
販売元:技術評論社
(2010-11-27)
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