カテゴリ:
完結したスティール・ボール・ランを一気読みした。

冷静に考えると突っ込みどころ満載の設定(だがそれがいい)と、それを不問にする絵と言葉の圧倒的な魅力。歴代の人気キャラクターのいいとこ取りをして、ジョジョらしさが高濃度に圧縮された最高に荒木飛呂彦らしい作品で大満足。


STEEL BALL RUN スティール・ボール・ラン 24 (ジャンプコミックス)STEEL BALL RUN スティール・ボール・ラン 24 (ジャンプコミックス)
著者:荒木 飛呂彦
販売元:集英社
(2011-06-03)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


物語のフォーマットはたぶん指輪物語やどろろ。王道のストーリーだからこそ、ジャイロ(ジョセフ・ジョースターの化身みたいな感じだったですね)やディオや大統領、そしてリンゴォのようなキャラクターの魅力がストレートに活かされてたと思う。

しかしなんといっても印象的だったのは主人公のジョニィ・ジョースター。喪失を背負った主人公が、最終的には勝利ではなく敗北によって、その喪失を回復する様が、何とも言えずよかった。ふつうの人間のひとりとして、共感できるキャラクターだった。

それと、ジョニィの喪失からの回復は、物語全体のテーマ(「幸福になる人間がいれば同じだけ不幸になる人間がいる」「プラスとマイナスでゼロになる」といったもの)とフラクタル構造にある。細かいことをいえば突っ込みどころ満載の設定がたくさんあっても、全体的に説得力があるのはそのせいだとい気がする。さすが。最高。

第8部の『ジョジョリオン』も楽しみ。