新装版ロードス島戦記を読了。事前に予想した加筆分がすばりあたった!
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予想以上にしっかりした豪華な装丁でしたよ。
どアップ。
ところでその内容ですが、あらゆる文章に手直しがされていて、ほぼ全面改稿でした。冒頭の第一ページ目から徹底的な直しが入ってます(たしかに旧版の文章のクオリティは……でした)。
そして主な加筆分がふたつありました。前の時代の物語である『ロードス島伝説』のナシェルの存在のほのめかしとロードスの騎士に至る布石、そして、ベルドとカシューの対決シーンです。
これについて、事前に以下のような予想をしていました。
・新装版『ロードス島戦記 灰色の魔女』の加筆分を予想する〜ナシェルからパーンに継承されたもの〜
・ロードス島戦記考察「英雄と戦争の時代」と「政治と経済の時代」〜カシューとアシュラムが象徴するもの〜
どや!
これはもう正解だったと言っていいのではないでしょうかね。
ずばりあたったことが特にわかりやすいのは、カシューがベルドとの対決の際になげかけるセリフ。
「英雄の時代には終わってもらう。わたしはわたしが治める国の民には、つまらぬ日常にうんざりとしてもらいたいのさ」
「英雄と戦争の時代」が「政治と経済の時代」に変わる決定的瞬間が、描写としてかなり補強されていて、まさに読み通り。しかし、私ごときのこういう読みがあたるということは、この作品にしっかりとした一貫性と説得力があることの裏付け他なりません。大人になってからの再読に耐え得る本ですよ。
追記 2022/2/11
この記事を書いてから8年以上経ちますが、ロードス島戦記をテーマにしたポッドキャストを作りました。ぜひこちらもお楽しみください。
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