神の子どもたちはみな踊る
村上春樹の短編小説集『神の子どもたちはみな踊る』を再読した。
著者:村上 春樹
新潮社(2002-02)
販売元:Amazon.co.jp
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しおり代わりにしていたレシートのおかげで、前回いつ読んだかちゃんと記録が残っている。2004年7月28日。村上春樹初体験だった『螢・納屋を焼く・その他の短編』の次に読んだ本。作品に対する印象はゼロ。おもしろいとも、つまらないとも言えない、まったくのゼロ。
それをこのタイミングで読み返そうと思ったのは、この作品が、1995年1月に起こった阪神大震災をテーマに書かれたものだから。
東日本大震災の渦中にあるいま再読して思うのは、ものすごくストレートだ、ということ。2004年当時にはわからなかったけど。
地震によって、物理的にも精神的にも、自分たちの立っている地盤が信頼できなくなった人間の感情と物語が、ものすごくストレートに書かれている。修辞は控えめで、トリッキーな構造もない。それが、今の心情的なくぼみにぴったりと寄り添う感じがして、これが優れた作品だったんだな、ということがわかった。少なくとも、必要な作品だったんだということがわかった。