筒井康隆の自選ホラー傑作集を読んだ
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1に収録されている作品はこれら。
走る取的
乗越駅の刑罰
懲戒の部屋
熊の木本線
顔面崩壊
近づいてくる時計
蟹甲癬
かくれんぼをした夜
風
都市盗掘団
2に収録されているのはこれら。
魚
冬のコント
二度死んだ少年の記録
傾斜
定年食
遍在
遠い座敷
メタモルフォセス群島
驚愕の曠野
一番好みのだったのは「乗越駅の刑罰」。無賃乗車をした客とそれを咎めた駅員の会話だけで話が進むお話で、理屈を中心に相手を追い詰めたり言い逃れたりしているはずがやがて不条理な展開になって後戻りできなくなっていくというもの。悲劇的なまでに噛み合わない会話があるあるねーよの応酬で滅法おもしろい。短い紙幅のなかで読者をあっという間に異次元に引きずり込む手腕は見事で、導入部文の雰囲気はレイモンド・カーヴァー的。この作品を翻案して、実在の人物を配した対話篇を作ったらおもしろそう。ひろゆきと梅木雄平とか、堀江貴文と大元隆志とか。