「坊っちゃん」の時代(関川夏央・谷口ジロー)
夏休みの読書の宿題第四弾。先月だったか、ふと思い出して夏目漱石の『坊っちゃん』を再読したらえらいおもしろくて、また、その悲しさにあてられてものがなしい気持ちになっていました(おすすめですよ、ほんと)。
それで夏目漱石のことを調べだしたら、こんな本があるじゃないですか。

著者:関川 夏央
販売元:双葉社
(2002-11-12)
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イギリスから帰国した夏目漱石が『坊っちゃん』の構想を練っていく過程と、近代化の揺籃期を迎えた明治日本の精神的隘路にぶつかった人々の戸惑いを重ね合わせた、まぎれもない名著(漫画)でした。
構想が優れているのはもちろんだけど、谷口ジローの絵がまた素晴らしくて、その絵の素晴らしさが独特なユーモア(もっといえばギャグ漫画)になっています。教養的なこと一切抜きでもおもしろい。
『坊っちゃん』は悲しい小説です。
というのは小説を読むとわかるんだけれど、坊っちゃんをアニメでしか見たことのない人は、痛快娯楽作か、古き良き明治の童話(と言っていいんじゃないかな)みたいなイメージを持ってしまっているんじゃないですかね。もしそのように誤解している人にとっては、この本はさらにおもしろいと思います。
しかし、こんなおもしろい漫画を今まで知らなかったなんて。
自分の不明を恥じる次第です。
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ちなみに、文庫版の解説は高橋源一郎。『日本文学盛衰史』の原点は、この『「坊っちゃん」の時代』であったと語っています。なるほどそうだったのか。

著者:高橋 源一郎
販売元:講談社
(2004-06-15)
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途中まで読んで放り投げてしまったけど、もう一度読もうっと。