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昨年末からにわかに青空文庫が気になりだして、サイトをいろいろと見てはいるんですが、増築を繰り返した老舗の温泉旅館のような感じで、いまいち全容が把握しづらい。

というわけで青空文庫に関する書籍を読んでみました。そのほうが情報が整理されていると思ったので。


青空文庫へようこそ―インターネット公共図書館の試み (HONCO双書 (H003))青空文庫へようこそ―インターネット公共図書館の試み (HONCO双書 (H003))
著者:青空文庫
販売元:大日本印刷株式会社ICC本部
発売日:1999-11
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こちらはおよそ10年前の本で、創立メンバーによる同人誌的な内容です。それだけに、青空文庫の雰囲気がよく伝わる本でした。
青空文庫は、理念はものすごくオープンだけれど、作業がものすごく大変なので参加する人が限られていて、とても独特な雰囲気があるんだなあ、という印象を持ちました。

インターネット図書館 青空文庫インターネット図書館 青空文庫
著者:野口 英司
販売元:はる書房
発売日:2005-11
おすすめ度:4.0
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こっちはつい最近の2005年の本。青空文庫に参加したさまざまなメンバーの声が掲載されていて、『黒死館殺人事件(小栗虫太郎)」のような寄書が青空文庫に登録されまでの経緯などがおもしろかったです。あらためて、ものすごい情熱に支えられているプロジェクトなんだなあと尊敬の念を持ちました。

それにしても、参加へのハードルの高さはどうにかならないものかと思いながら読んでいたのですが、それについて運営側の意見が書かれている箇所がありました。

97ページ目から引用

「もうチェックも何もせずに、工作員が入力したテキストファイルをそのままネットにアップするシステムに変えてもいいんじゃないでしょうか。たしか、プロジェクト・グーテンベルクは、その方法に近いと思うんですが。もう[むしとりあみ(*)]もいらないと思うんです。やたらと細かいことを言う人が増えるだけですから。ファイルをダウンロードした後のことは、その人の判断にまかせればいいんです。読むだけなら、多少の間違えがあっても問題ないですから」

そうすればシステマティックな作業が中心となり、運営も今よりずっと楽になるはずだという。けれど、最後に小林さんは、「そんな後戻りは、もう青空文庫にはできないですよね」と付け加えた。

* 入力ミスを報告するバグ取り掲示板

外から見ると、もっとシステマティックに改良する余地があるように思えるのだけれど、このあたりはもはやどうにもならない文化のようになっているみたいです。

青空文庫の話とは別に参考になったのは、3章で紙幅を裂いて語られている著作権の話。

そもそも青空文庫に興味を持ったのは、1)文字文化の継承に努力しているプロジェクトに対してなんらかの貢献ができないか、2)著作権の問題を真剣に考えてみよう、と考えたことがきっかけでした。その意味で、著作権の話がまとまっている3章はとても参考になりました。

といってもここまでで2005年の話なので、引き続きもうちょっと勉強してみます。


関連リンク
青空文庫のiPhoneアプリを5つ試してみた - 「SkyBook」が最高
黒死館殺人事件 - Wikipedia

青空文庫のiPhoneアプリを5つ試してみた - 「SkyBook」が最高

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青空文庫のiPhoneアプリを5つ試してたので、感想をまとめてみます。
詳細を比較して細かくレビュー、とまではいかなかったので、ほんの参考までにご覧ください。

※価格に関する情報は、2012年5月に改めました。詳しい機能については直接iTunes Storeで調べてみることをお勧めします。


9dbb3261.jpgi文庫 (350円) ★★★

iTuens Storeでは現時点でもっとも人気のあるアプリ。最初からある程度の数の作品が入っているところが、特にiPod touchにやさしい。もちろん、追加でダウンロードも可能。操作も迷わず、フォントの見た目もきれいで読みやすい。(ダウンロード)



ef9bacfe.jpgポケット青空文庫 - SkyBook (1.99ドル) ★★★

もっと評価されてよい好アプリ。ガイドも丁寧で意欲的。UIは「i文庫」に比べてさらにシンプルで、作品をダウンロードして読むまでの一連の操作がカンタン。フォントなどの見た目もきれいで、好みによって細かい設定も可能。(ダウンロード)



81ea0c60.jpg青空本棚 (3.99ドル) ★★

高機能なので、細かいカスタマイズをしたい人には最適かもしれませんが、ちょっと試した感じは操作に迷ってしまいました。背景(の紙質)とフォントを自由に組み合わせられる機能は、他のアプリにはない意欲的なもの。改良に期待。(ダウンロード)



f17243f6.jpg文庫リーダー「soRa」(0.99ドル)★★

必要な作品を探しに「作家一覧/作品一覧」を開いたとき、一覧の取得がもっさりするのがストレス。フォントなどの見た目もあともう一歩。改良に期待。(ダウンロード)



まとめ


とりあえずいろいろ読んでみたい方や、iPod touchなどを使っていてネットワークにつながっていない状態で使う場合が多い方には、とりあえず「i文庫」がおすすめです。

ただ、著作権が切れているような昔の文学作品について「これ読んでみたいな」「これおもしろそうだな」と見当のつくような方には、断然「SkyBook」がオススメです。UIが一番優れているように思います。

ちなみに、何を読んだらいいかわからないという人は、とりあえず夏目漱石の「夢十夜」なんかがいいと思います。幻想的でナンセンスで短くて、現代の感覚にもあっていると思います。

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